中国火星ベースの危機
中国からの救助依頼もない。また、世論も救助の動きがない。
中国の無人ロケットが到着して2週間が経過すると、居住エリアの温度が夜に低下する状況が発生した。ローバーが補給?に向かって停止しているので、太陽光パネルのメンテナンスが停止しているためだろう。
電気がなければ火星で人は生きていけない。中国ベースの居住者は全員死亡しただろう。
助けることができる位置にいながら、助けることができなかったことが心に重くのしかかる。
明らかに問題が発生していることが明確だが、中国ベースの状況を監視している詳細情報は一般には公開していないため、救助の世論は動かない。
何も世論は動かずこのままかなと思っていると、火星資源を探査する衛星の情報から火星ベースの状況がおかしいという意見がネットで出てきた。
資源探査の情報は日々公開しているので、火星マニアが中国火星ベースの状況だけを取り出し、植物の成長記録のような動画を公開している。
他の人は、数ヶ月後の予想図まで出している。その予想図は火星ベースがほぼ砂に覆われている。砂嵐が数回到来しないと、ここまで砂に覆われないと思うけど…
さすがに救助依頼が来ると思ったが、中国から救助依頼が来ない…
私がモヤモヤしている間、理人達は重機作成に邁進している。
重機作成に必須な3Dプリンタはプラズマはビアンカが手伝うことでスムーズに作成が進み、試作段階に進んでいるが、重機の設計はもめている…
ちょっとうるさいねぇ。
悠人:「やっぱり、キャタピラーは連結させて、大きな段差も走破できるようにしなきゃ」
理人:「連結なんて無駄だよ。キャタピラーを複数作るならもう一台作る方が生産効率が高いよ」
悠人:「理人は大規模開発を考えているのか? 今はロキのところ以外、掘るような採掘はしていないぜ。採集みたいなもんだ。だから、踏破を優先した方がいいんじゃないか?」
理人:「採集なら普通のローバーと風船ローバーで十分だろ?」
颯人:「多脚にしようぜ。キャタピラーより踏破できるぜ」
理人:「多脚はメンテナンスが大変だから、却下」
颯人:「風船ローバーは腕?で移動するじゃないか? あの時には反対しなかっただろ?」
理人:「風船ローバーは風船でほぼ浮いているので無重力移動みたいなものじゃなないか? 状況が違うよ」
颯人:「そっか… じゃ、上半身は?ロボットにしよう! 汎用的だろ」
悠人:「スコップを持たせるのか!? 笑える! ロボットアニメじゃん」
理人:「腕はつけない。ショベル、ブルトーザー、トラックの3種を作る」
颯人:「えー。面白くないじゃん」
理人:「面白くなくていいんだよ」
兎:「みんな、こういうの好きだよね? どこが面白いの?」
颯人:「えー。面白いじゃないですか」
兎:「そう?」
理人:「伊織や小織は興味なさそうだね?」
伊織:「うーん。面白いとは思うけど、効率がよければいいんじゃない?」
理人:「小織は?」
小織:「わからないわ」
理人:「僕たち、始まりは同じだろ? なのにみんなの興味がこんなに違うんだね」
伊織:「そうね。不思議ね」
理人:「あ、そう言えば、小織、シリコングリスはできそう?」
小織:「火星って温度が低いじゃない? でも、稼働を続けると温度が上がるでしょ? グリスが機能するかどうかは実験を繰り返さないといけないわ。問題は今のラボでは量産が難しいわ。ローバーの部品のポリカーボネートやコンクリートとして使う硬化剤なんかも作っているので場所がないの。ローバーの部品は消耗が激しいから常時作る必要があるしね」
理人:「そっか… どうにかしないとね」
兎:「ローバーの部品作成のための専用のドームを作る必要があるわね。足りないものが自給できるようになると、別のものが足りなくなるわね。これの繰り返しね」
理人:「兎先生、重機は電力を多く消費するので、電力問題も出てくると思います」
兎:「はぁ。また電力… どうにかならないかしら」




