オリンポス山
颯人:「兎先生、そのロボットってどこにあるんですか? 見たことないです」
悠人:「操作してみたいです」
兎:「え? ロボットなんてないから操作なんてできないわよ」
颯人:「でも、映像で神木さんが操作しているのでしょ?」
兎:「あ、これね。これは地球の神木さんよ。ここの映像じゃないわ」
颯人:「紛らわしいなぁ」
悠人:「そうだね。同じ顔をしているし」
兎:「同一人物だからね」
悠人:「アバターなんだから、変えればいいじゃない?」
兎:「じゃ、悠人はアバターを変える?」
悠人:「変えているよ」
兎:「どこを変えたの?」
悠人:「19歳に変更しています」
颯人:「わかんないよ」
悠人:「そうかなぁ」
兎:「思いっきり変更しないの?」
悠人:「この姿以外は考えられないかな」
兎:「そうなのね…」
元は私のはずだけど、姿は変えたくないのか… なんか不思議。
悠人:「颯人、このロボット操作してみたいよな?」
颯人:「兎先生、作っていいですか? データはあるんでしょ?」
私が『却下』と言う前に、理人が「ローバーの方が運用しやすいよ。二足歩行なんて無駄だよ」と言った。
悠人:「理人はわかってないなぁ。二足歩行のロボットだぜ。それを操作できるなんてロマンじゃん」
なんか、男の子三人で盛り上がっているなぁ。
颯人:「とりあえず、シミュレーションしてみる?」
悠人:「いいねぇ。作るか!」
理人:「それって、アバターと何が違うんだ?」
颯人:「…」
悠人:「…その通りだな」
兎:「みんな、暇しているの?」
颯人:「暇です。だって、採掘もローバーのメンテナンスもアルジャーノンで問題ないから…」
兎:「何か新しいこと始めて見たら?」
悠人:「採掘や運び方でもいい方法を考えても、アルジャーノンができるようになるでしょ? すると、やることがなくなるんです」
兎:「なるほどね… 理人も暇なの?」
理人:「僕? そうでもないかな」
兎:「何をしているの?」
理人:「火星探査をしているよ。あ、そうだ。兎先生、オリンポス山の探索をしていい?」
兎:「オリンポス山? どんな山?」
理人:「火星最大の山で、27,000メートルの高さがあるんだ」
兎:「ものすごく、高いわね。エベレストの3倍もあるわね… それだけ?」
理人:「傾斜も少ないんだよ」
兎:「で、何を企んでいるの?」
理人:「…マスドライバーを作れないかなと思っています」
やっと白状したわね。
兎:「マスドライバーって何?」
理人:「宇宙に荷物を運ぶためのものです」
兎:「スピンローンチがあるじゃない?」
理人:「大量には送ることができないじゃないですか?」
兎:「大量の資源がないからね」
理人:「えーっと、これから資源開発をすると大量に宇宙に資源を送る必要が出てくるでしょ? その準備ですよ」
兎:「そうね。準備は大切ね。マスドライバーってどういう構造なの?」
理人:「これです」
理人は想定案と思われる絵と思うけど、山が映し出されている。
兎:「これがオリンポス山?」
理人:「そうです。この山の傾斜を利用してリニアの路線を作って荷物を宇宙に飛ばします。火星の重力は少ないし、オリンポス山は高さがあるから建設コストが少ないんです」
兎:「なるほどねぇ。そのためにもオリンポス山の調査が必要なのね。いいんじゃない?」
理人:「え? いいの?」
兎:「私はいいと思うけど、千秋先生達の意見も必要だから、調査の計画書をつくって。みんなで会議をしましょう」
理人:「作ります!」
兎:「颯人も悠人も何かしたいことがあったら、言ってね」
悠人:「じゃ、ロボットを」
私は食い気味に「却下! 別のことを考えなさい!」と言った。
今度は理人に邪魔されずに言えた。




