救難信号
私が、ドローンの映像に編集して音楽をつけていると、緊急を知らせる音が鳴った。
緊急を知らせる音は決めていたが、鳴ったのは初めてだ。
みんながオペレーションルームに集まった。
兎:「アルジャーノン説明して」
アルジャーノン:「救難信号を受信しました」
兎:「救難信号? ここにはみんないるということは中国の火星ベースから?」
アルジャーノン:「はい」
アンジェ:「NASAに問い合わせる必要がある。アルジャーノン、状況をNASAに送信しろ」
アルジャーノン:「わかりました」
兎:「そんな悠長なことでいいのですか? 助けに行かなきゃ」
千秋:「アルジャーノン、救難信号とはどんなものだ?」
アルジャーノン:「モールス信号で、SOSが5分繰り返されましたが、今は停止しています」
千秋:「今は停止しているのか… 誤報の可能性もあるな」
ビアンカ:「国際宇宙ステーションの連絡方法に則り、応答があるか確認しろ」
アルジャーノン:「わかりました。…応答がありません」
ビアンカ:「繰り返せ。エアバンドも試せ。兎、救援の準備だ」
私は颯人と悠人に気球型ドローンの準備をお願いし、小織に水と酸素の準備をお願いした
アルジャーノン:「PEKのVHFとUHFから試します」
何かわからない3文字はなんだろう?と思っていたら、ビアンカに「兎、準備ができたら出発させろ」と言われ、現実に引き戻された。
兎:「わかりました」
ビアンカ:「近づくだけだぞ。NASAの了承がなければ入ってはダメだ」
兎:「わかりました」
気球型のドローンはいつでも動けるように整備が済んでいるので、すぐに出発した。
気球型はほぼ浮かんでいるので地面の凸凹は関係ないので速い。
1時間ほどで到着するはずだ。
アルジャーノン:「NASAから応答がありました。『中国に確認中。待機せよ』です」
兎:「気球型ドローンは出発していることは伝えてあるよね?」
アルジャーノン:「はい」
ビアンカ:「片道で4分ほどかかるから、気球型ドローンが出発した内容が届いていない状態での解答だろう。こちらの状況を随時報告するしかない」
タイムラグがあるのは面倒ね…
その後、NASAからの応答が順次入ってきた。
最初は中国の確認中だった。次は中国は協力に感謝するということだった。
あと、中国ベースまで200メートルぐらいに近づくと、中国ベースの太陽光パネルなどの機器が設置されているところまで少しとなった時、『近づくな』という命令が入った。
そのため、気球型ドローンを停止させた。
その時、河野さんが中国ベースの拡大映像を表示し、「中国ベースからローバーが出てきました」と言った。
ローバーが出てくるということは誤報だったのかな?
ローバーは気球型ドローンに近づいてきて、止まった。
中国のローバーは車輪の6個あるが、1つは確実に動いていない。
整備状況がよくないわね…
アルジャーノン:「ここは中国ベースのため、近づくなと通信がありました」
ビアンカ:「救難信号を受けたが、問題ないのか聞け」
アルジャーノン:「わかりました」
しばらくすると、アルジャーノンが「近づくなのみで、救難信号について何も言いません」と言った。
兎:「ビアンカ、どうしますか?」
ビアンカ:「待機だ。NASAの解答待ちだ」
何も応答がないまま、20分が経過した…
アルジャーノン:「帰還せよとの命令が出ました」
ビアンカ:「帰還だ」
戻るしかないよね…
兎:「悠人、飛行型ドローンを戻して」
悠人:「わかりました」




