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望遠鏡の完成

 アンジェと河野さんが宇宙にあげた珪素などを利用してガラスからレンズを何個も作っている。

「アンジェ、どうして何個もレンズを作っているということは失敗続きなの?」

「ん? あ、これか? 5個ほど満足できなかったが、今は成功と言える」


「それにしては多くない? それにいろいろな形があると思うけど…」

「凸レンズと凹レンズそれに、色のにじみを補正するレンズも必要だからな。本当はフッ化カルシウムの結晶がほしいが、仕方がない」


「えーっと。凸レンズって光を集めて、凹レンズは光を拡散?するのですよね? どうして望遠鏡をつくるのに凹レンズが必要なのですか?」


「今は望遠鏡というより、監視衛星用の望遠レンズだからズームをするには必要なんだよ。本当はMagellan Telescopeが作りたいけど中国ベースを撮影する方が先だろ?」

「その、Magellan Telescopeも望遠鏡なんでしょ? それで中国ベースを撮影すれば?」


「できないよ。対象の距離が違いすぎる」

「そうなんですね…」


「中国のロケットは明日来ますよ。間に合いますか?」

「そうだなぁ。物資の投入は明後日だと間に合うかどうかは微妙だな。いや、河野が頑張ってくれるから間に合うよ」


 隣で河野さんがブツブツ言いながら、レンズを組み合わせて得られた映像を確認している。

「河野さんはさっきから映像を見ていますが、何をしているのですか?」

「これですか? レンズの微調整です」


「微調整?」

「ここを見てください」と河野さんがいろいろな大きさの四角が並んだ画像を拡大した

「見えているものは正方形ですよね? でも少し歪んでいますね」


「そうです。で、こちらのグラフは純粋な赤を写したものですけど、同じ赤ではなく少し色が変化しています。画像の歪みや色のにじみを見つけてはレンズを削って調整しています」

「大変ですね」


「そう! 大変なんですよ。ズームをすると別の歪みが見つかるし、修正の連続ですよ。兎さんが許可を出したせいですよ」

「ごめんなさい。いっそのこと補正はプログラムで修正すればどうですか?」


「プログラムで補正はできますが、それは最終手段です。基本はレンズで解決すべきです」

「そうですか」

 河野さんのこだわりで忙しいような気がするけど…


 ロケットの作業も火星の地表での開発も仮想環境で作業できるのって便利よね。

 最近、実体がないことの不便を感じなくなってきている。

 最初の頃はピアノや食事の面で不満があったけど、今は不自由がないもの。

 逆に、食べても太らないし、風邪をひかない。便利なことの方が多い


 お姉ちゃんズ、お父さん、優佳に会いたいなぁ。バイスちゃん元気かな?

 寂しくなっちゃった。小太郎に会いに行くか。


 私は森へ転送した。

 うさぎ達と寝ていた小太郎がこちらに気づいて駆け寄ってきた。


「小太郎、もふもふで可愛いねぇ」と言いながら撫でた。

「凛ちゃんはいないの?」と小太郎に聞いても答えてくれない。


「琥珀、凛ちゃんはどこにいるの?」

「ロキと一緒にいます」


「ロキのところ? 転送して」

 森の別の場所?に転送された。そこには小屋があった。

 この中にいるのかしら? 私はノックをして扉を開けた。


「ロキいる? ん? 熱! なにこの煙?」

 これって、サウナ? サウナってできたの? あれは… ロキとナルヴィ? 座っている? 

「兎さん。どうしたのですか?」


 水蒸気が外に出て見えるようになってきた。

「どうしたのって、キャー!」私は慌てて扉を閉めた。ロキとナルヴィは裸で座っていたのだ。

「兎さん?」といってロキが出てきたので私は扉を押さえた。


「服を着てください」

「はい。…着ました。出ますよ」


 ロキとナルヴィが出てきた。

「どうして裸なんですか? サウナって服を着るのでしょ?」

「サウナは裸ですよ」


「そうですか… サウナは完成したのですね」

「はい。できました。兎さんもいかがですか?」


「私? 結構です! それより、凛ちゃんも中にいるのですか!?」

「いますよ。ここが好きみたいですよ」


 そんなわけないでしょ? と思いながら私が扉を開けたら、熱が襲ってきた。中を見ると凛ちゃんがいる!? しかも、平然としている。どうして?

「ロキ、どうして凛ちゃんがいるの?」

「好きなんでしょ?」

 はぁ。話が噛み合わない… ま、無理やりじゃないみたいだし、好きでいるならいいか…

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