トリウム溶融塩炉の完成
トリウム溶融塩炉のパイプ接続はすべて完了した。
トリウム溶融塩をパイプから入れると漏れが二箇所見つかった。そのため、トリウム溶融塩を取り出して修理というトラブルがあった。
漏れたトリウム溶融塩は落ちた場所で固まっている。
「ビアンカ、漏れた溶融塩はどうするのですか?」
「とりあえず離れた場所に放置だ。稼働を始めたら再精製する。稼働が優先だ」
漏れの箇所を修繕し、再度トリウム溶融塩を入れても今度は漏れない。
「問題なさそうですね」
「あぁ。レーザーをトリウム溶融塩炉の上部に取り付けて、ウランに照射だ」
レーザー照射して、中性子を飛ばす。そして、温度変化を観察する…
「変化ないですね」
「いや、温度上昇が始まった。問題ない。しばらくするとジェネレータで発電される」
400度を超えたあたりで発電され始めた
「発電したな。あとは循環されるのを確認すれば連続稼働できる」
「これで電気不足は無くなりそうですね」
「兎が新たに電力を消費することを始めなければな」
「私が?」
「サウナを作っているのだろ?」
「サウナはロキが作っているだけですよ」
「まぁ、いい。それより、中国ベースはどうなっている?」
「修理されたローバーが3台稼働を始め、2台が修理しているようです」
「ほう。初期不良の改善が進んで、起動に乗り始めたのかな?」
「そうかもしれませんが、腕などのどこか動きがおかしいローバーばかりですよ。何か問題を抱えているのかもしれません。問い合わせできないのですか?」
「NASAからは接触するなと言われているので、ダメだな」
「そうなのですね。問題がなければいいのですけど…」
「アンジェによると、中国は補給船がもうそろそろ到着するはずだから、問題ないだろう」
「アンジェ、いつ到着するのですか?」
「来週には到着する。それより、キャパシタははずしていいか?」
「何に使うのですか?」
「レンズを宇宙で作る」
「レンズを何に使うのですか?」
「望遠鏡をを作る」
「何を見るのですか?」
「宇宙だよ。兎は宇宙は見たくないのか?」
「そりゃ、綺麗だとは思いますよ。でもそれだけですよ。それに、宇宙船のカメラから見えますよね?」
「あんなレベルじゃほとんど見えないじゃないか?」
「アンジェ、兎は金の亡者だから儲からないと許可しないぞ」とビアンカが言った。
「そんなことないよ!」
「そうだなぁ。地球では撮れない宇宙の写真は売れるぞ」
あ、私の金の亡者の否定をスルーされた… というより納得している?
「写真ね… 火星の画像は売れたけど、儲けなんてないよ」
「な、金の亡者だろ」
「ここに資材を運ぶには資金が必要なのですよ」
「あぁ。わかっている。アンジェ、もっと儲かることを考えろ」
「そうですね… タイタンの映像は火星と同等か… そうだ! 中国ベースの観察に利用しよう。ミリ単位の画像が撮れるぞ」
「中国ベースの映像は機密情報でしょ? だったら、公開できないので無意味では? それに、追加した衛星で見れますよね?」
「あの衛星じゃ、解像度が低い。ふふ、心配しなくても大丈夫だ高値で売れるよ」
「どこに売るのですか? もしかして、中国に売るのですか?」
「中国? 考えなかったな。中国に販売すると敵対行為になる」
「中国じゃないとすると、NASAですか? NASAは今の衛星の性能で十分と思っているのでしょ? だったら売れないのでは?」
「今の衛星は火星の資源探索を主に考えて用意したものだ。中国はもう少し後に火星に来ると思っていたから、光学系が弱い。中国ベースの偵察衛星と考えればNASAが費用を出すはずだ」
「ふーん。費用がでるならいいですよ」
「ガラスの材料を宇宙に上げる」
「地上で作ってから宇宙にあげないのですか?」
「衝撃で歪みが出る可能性があるだろ? それに宇宙の方が歪みのないレンズが作れる」
そうなのね… アンジェが楽しく作るのならいいか。




