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千秋先生の研究(後編)

 ニャン吉の脳をシミュレートするって、細胞が多いとものすごく大変じゃない!?


「あのー。千秋先生。猫の大脳の細胞ってどのぐらいあるんですか?」

「2億5千万だね」

「ということは、ニャン吉の量子コンピュータってものすごい高性能なんですね」

「あぁ。超高性能だよ… ん? もしかして、2億5千万を常時シミュレートしていると思っているか?」

「はい。違うのですか!?」


 私はテレビドラマ?を思い出した。脳は10%しか使っていないから残りの90%を使えば、すごいことができるという内容だ。ということは、2500万をシミュレートするだけでいいということね。


「あ! もしかして、10%しか利用していないと話を聞いたことがあるので、10%ですか?」

「あれは嘘だ100%使っている」

「じゃ、どうして、10%という話が出てきたのでしょう…」

「おそらく、MRIを接続した状態で何か作業をさせると、活発に動作する場所が一部だということから発生したんじゃないかな?」


「じゃ、2億5千万を常時シミュレートするしかないんじゃないですか?」

「実は、1000の細胞を同時にシミュレートしている」

「たった1000ですか?」

「たったというが、すごいんだぞ」


 千秋先生は大きくため息を吐いた。


「うーん。じゃ、どうやって1000の細胞の同時シミュレートでニャン吉は動けているのですか?」


「難しいが、知りたいか?」

「はい… でも簡単でお願いします」

「難しいな… 詩織が使っているPCで音楽をかけながら、ネットを見たり、複数の作業が同時にできるだろ? それは、内部の処理がタイムシェアリングで動いているから複数同時実行できるんだ」

「タイムシェアリングって時間貸し?」

「そうだ。ここまではいいか?」

「えー。わからないです。超簡単でお願いします」


「じゃ、詩織が料理をする時、ご飯を炊いている間に魚を焼いたり、お味噌汁を作ったりするだろ? これは、並列の作業をしているけど、作業者は詩織しかいないから時間を細かく分けてそれぞれの作業をするよな?」

「はい」私は得意じゃないですけど…

「これが、タイムシェアリングだ」

「時間ごとに行う作業を切り替えているということですか?」

「そうだ。…ここからは超簡単説明は難しいなぁ」


 千秋先生は目を閉じて、こめかみを少し叩いて、考えをまとめているようだ…

 PCを開き、脳細胞どうしが接続されている絵を表示した。


「脳細胞は別の数個の脳細胞と繋がっていることは知っているな?」

「はい。習いました」


「右前足の肉球に何かが触れたとすると、神経を通じて電気信号が流れる。その電気信号が脳細胞にわたり処理され電気信号が流れる。そして、つながっている別の脳細胞が処理する。という動作をする。肉球に何かが触れた処理は神経に繋がっている脳細胞だけで処理する」

「それで、10%とかという話が出てくるのですね」


「大雑把に言うとそういうことだ。コンピュータの動作で説明すると、電気信号が届いた脳細胞をシミュレートする。次に、繋がっている脳細胞をシミュレートする。このように繰り返せば、脳のシミュレーションができる。極端な話、1つの細胞のシミュレートができれば、それを順番に脳細胞をシミュレートすれば、ニャン吉の脳を再現できる」


 千秋先生は私が理解しているようなので話を続けた。


「今までのコンピュータで順番に脳細胞をシミュレートすると数千秒後に反応するようなことが発生する。それじゃ、ニャン吉はまともに生活できない。でも、量子コンピュータで分子の動作をシミュレートすれば、超高速に脳細胞のシミュレートができる。それを1000個の細胞を同時シミュレーションすることで、ニャン吉はタイムラグなしで生活できている」

「なんとなく、1000個でもできるような気がしました」


「手術直後のニャン吉は動けなかったけど、今じゃ普通に生活していますよね? 成長?記憶?はどうなっているのですか?」

「手術直後はほぼ均一の接続からとした。その後、脳細胞のシミュレーションの結果、つながりを強化する等の変化が起こると、その結果をデータベースに記録する。次にその細胞を利用する場合は、データベースの記録を設定してシミュレーションし、結果をデータベースに記録する。これをずーっと繰り返している。この処理でニャン吉はふつうに動けるようになったことから記憶は保持されているはずだが、ニャン吉に聞いても記憶しているかどうかは教えてくれないから本当のところはわからない」


「ご飯食べたり普通に生活しているなら、記憶していると思います」

「そうあってほしいな。脳細胞のシミュレーションの動作は、本物の脳細胞と全く同じではないし、これだけの数の組み合わせは初めてだから正しいのかどうかはわからない。しかも、繋がっていない脳細胞はシミュレートしていないが、本当にそれで問題ないのかもわからない」


 千秋先生は「他にも問題があるが…」と呟いた。

「千秋先生、なんとなくわかりました。今日はかえります。達也さんに質問できるようにしてくださいね」

「あぁ。わかった」

技術面が伝わっていますでしょうか?

わかりにくい等のご意見をいただければ、幸いです。

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