トリウム溶融塩炉
You◯ubeに実験の選定結果の発表動画を作っていたら、ビアンカややってきた。
「兎、原子力発電のことをミュラーに聞いたら、トリウム溶融塩炉がいいんじゃないか?と言われた」
「あのう。ビアンカもミュラーですよね? ミュラーさんってビアンカの夫ですか? しかも、ミュラー・ミュラーさんですか?」
「そんなわけはないだろ? Albert Can Müllerだ。同じチームに別のAlbertがいたので、呼ぶのに面倒だったからMüllerと呼んでいる」
「そうなんですね。で、どうしてビアンカの夫の方をミュラーさんと呼んだのですか?」
「Albertは前からの知り合いだから呼び方を変えるのは後から知り合った方になるだろ?」
「なるほど… で、トリウム溶融塩炉だと何がいいのですか?」
「利点はいろいろあるが… 小さく作ることができる。それに構造も単純と言っていい。燃料のトリウム232はウランより豊富だ。今利用している原子力発電の廃棄物のプルトニウムも利用できる。事故で燃料の溶融塩が漏れても爆発しないぐらいか」
「聞いた感じだと、ものすごく良さそうですけど… もしかして放射能が強いとか?」
「いや、半減期が30年以内の放射性物質がほとんどだから、100年ほど放置すれば問題ない」
「じゃ、最近考えられた方法なのですか?」
「いや、1960年代には実験されていた」
「うーん。じゃ、欠点は?」
「腐食しやすいということかな。腐食で交換した部品は放射能物質がついているので放射性廃棄物となる。ここでは、放置する場所がたくさんあるので問題はない」
「それだけ?」
「そうだな。あとはアメリカでは1960年代の実験炉と最近の実験炉ぐらいしかないことかな」
「そんな前からあるのですね」
「あぁ。中国やインドも作っているぞ」
「材料も豊富にあるのになぜ作らないのですか?」
「それは…」
「それは?」
「本当かどうかは知らないが、プルトニウムが作れないからと言われている」
「プルトニウムが作れると何がいいのですか?」
「爆弾だよ」
「…」私は絶句した…
「ミュラーはここで原子力発電を新規につくることはアメリカの許可がでないだろうと言っていた」
「プルトニウムを作らせたくないということですか…」
「そうだ」
「爆弾なんて作るわけないじゃないですか!」
「兎がそう考えても、疑うものは存在するんだよ」
「わかりました。原子力発電ではなくトリウム溶融塩炉で動画を作ります。資料をください」
「あぁ。これだ。作ったら見せてくれ、ミュラーに確認してもらう」
「わかりました」
私はトリウム溶融塩炉の動画を作るために資料を読んだ…
中性子があたってトリウム232が核分裂してウラン233になって、ウラン233が分裂して中性子が出て連鎖する?
核分裂の時にエネルギーが出るのね。
大きさも2Mほどか… 今の原子力発電モジュールと同じぐらいの大きさか…
火星でも地球の半分程度しか太陽光が届かないから、離れた場所に開発の手を伸ばそうと思うと原子力発電は作れないと困るんだよね。
トリウム溶融塩炉は絶対失敗しないように作るので面白映像は撮れないというか、面白くはさせない!
隕石はなかなかの映像が撮れると思うけどそれだけじゃなぁ。
火星着陸を撮るためにドローンもあるけど、航続距離が短いんだよねぇ。
気球とかダメかな?と考えていると、千秋先生が入ってきた。
「千秋先生、何かご用ですか?」
「2日後に砂嵐が来る」
「飛ばされるとか、危険なんですか?」
「いや威力はないが、1週間太陽光が届きにくくなる」
「じゃ、たいしたことはないですね」
「原子力発電のみになるので、生産活動が停止する」
「北の山の太陽光発電は大丈夫なんでしょ?」
「そちらも影響がでる」
「じゃ、休暇ですね。温泉でのんびりできますね」
「電力を抑えるため、温泉はなしだ」
「えー! 大変じゃないですか!」




