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火星で商売

 ロキ達がドローンとローバーで様々な場所の探索を行っている。東にある渓谷の探索を行っていると、渓谷の中ほどの崖部分に温度の高い部分を見つけた。

 火山の活動があったと思われる場所だったので、ウランなどの放射性物質があると考えられる。

 しかも、渓谷奥には氷が大量に見つかった。

 この水があれば、工業生産も捗る。


「アンジェ、ウランが見つかれば原子力発電できるのですね」

「ま、そうだけど、精錬して、転換して、濃縮して、再転換して、整形が必要だな」


「手順が複雑なんですね」

「そりゃ、20世紀にやっとできたのだから複雑だな」


「精錬や濃縮は言葉としてわかりますけど、転換ってなんですか?」

「転換は、精錬して得られたイエローケーキを六フッ化ウランに変えることだ。再転換は六フッ化ウランを二酸化ウランに変えることだ」


「じゃ、手順はかかるけど作れるのですね」

「どうだろうな。地球から情報を得る必要がある」


「アンジェは手順を知っているのでしょ?」

「大まかな手順はな。ここでは爆発やメルトダウンなどの失敗してノウハウを蓄積する資源の余裕がないからな」


「爆発やメルトダウンなんてダメです。危険じゃないですか!」

「放射能は危険だが、 我々は人より放射能に強いぞ」


「はぁ… そんな問題ではないです」

「地球が情報を出してくれるとは思うが、大盤振る舞いもそう長くは続かないな」


「どうしてですか? お金がかかりすぎるから?」

「そうだな。『人類初』という魔法の言葉で民衆は出費が正当だと考える。しかし、その魔法は長くは続かない」


「魔法が解けるとどうなるのですか?」

「その魔法が解けると『無駄』と思われる。月の例を見ればわかるだろ? 当時の費用で250億ドルを投じたのだぞ」


「250億ドル!?」

「すごいですね…」


「アポロ計画は20号まで計画されていたが、予算削減で18号以降はキャンセルされている。1960年代後半はベトナム戦争のために財政は悪化したこともあるが…」

「そうなのですね。予算削減される前にここを自立させないといけないですね」


「そうだが… 少し話が逸れた。今の魔法がかかっている間にできるだけ地球の最新技術を取得しておく必要があるということだ。魔法が解けると技術の出し惜しみが発生する。半導体製造装置が火星に作れたのは魔法のおかげだ」

「そうだったのですね… じゃ、魔法を長続きさせるしかないですね」


「どうする気だ?」

「You◯ubeに投稿した動画で一番の再生数は何だと思います?」


「何だ急に。人類初の火星着陸だろ? 千秋から聞いたが、兎が人類初のフォボス着陸計画をNASAに打診しろと言ったことにつながるのか?」

「火星着陸は二番です。フォボス着陸計画はNASAしだいじゃないですか」


「確かに、フォボス着陸はNASAしだいだな。では、一番の再生数はなんだ?」

「スピンローンチの失敗動画です」


「あれか。兎が編集した映像は面白かったが、それは兎の編集が面白かったからだと思うぞ」

「火星着陸もただの映像なら見ないと思います。音楽とかで盛り上げるからだと思ったからですよ。だから、スピンローンチの失敗動画に音楽などを入れただけですよ」


「で、You◯ubeと魔法を長続きさせると何が関係するんだ?」

「You◯ubeで火星での実験を募集します。その募集の内容でクラウドファンディングを実施して達成したらここで実験します」

「多くの募集がないと難しいぞ」


「大丈夫ですよYou◯ubeには私達の動画を見る登録者という信者がいます。火星での実験の募集はYou◯ubeの信者にも告知すれば話題性も大きいので問題なしです」


「実験が失敗したら続かないだろ?」

「そうですね… 失敗しても、編集した面白映像をYou◯ubeで公開すればさらに儲かります。だから、失敗しても問題なしです」


「そうか… 千秋が兎に任せておけばいいと言った理由がわかったよ」

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