電力不足対策会議
小さいヘリオスタットを作ると、氷を溶かすことができた。
太陽の方向に合わせないといけないので日中を通じてとなると難しいが、できることはわかった。でも大規模化すると、太陽光を反射させるパネルの調整が大変だ。一点集中させないと温度が上がらない。
鉱物資源の採掘も順調に進んでいたが、電力不足で生産が止める必要が出てきた。
今日の議題は電力不足についてだ
「ロキから電力不足で採掘が進まないと言われています。節電と発電の増加が必要です。これが日々の状況です」
私が原子力発電、太陽光発電、消費電力、蓄電容量のグラフを表示した。
「夜間はCO2バッテリを利用して機器のメンテナンスなどを実施していますので、昼間の余剰電力は貯めるようにしていますが、余剰分は半分程度しか使えていないです。そして、これが電力の利用状況の内訳です。圧倒的に鉱物資源の精錬などを行う化学モジュール、次が鉱物資源の掘採です」
「電気炉を使うことが多いので、どうしても電力は必要です」と小織が言った。
「必要なのはわかっているわ。CO2バッテリの効率は上げられないかしら」
「簡単に量産することを前提にしていますので、難しいです」と神木さんが言った。
「ペブロスカイト太陽電池を作るしかないな」とビアンカが言った。
「材料が足りないと言っていませんでしたか?」
「有人火星ロケットで補充されたので後1年ぐらいはフル生産しても問題ないが、材料の補充は必要だ。ここで材料の調達ができれば、電気の問題は解決できる。硫黄は十分だが、鉛とアルミニウムが足りない。この精製を優先しないか?」
「そうですね。太陽電池の材料収集を第一優先でいかがですか? そのため、農耕の優先度は下げます」
「農耕は大金持ちというスポンサーの意向だぞ。優先度を下げるというのはスポンサーからクレームがくる可能性があるぞ」と千秋先生が言った。
「でも、優先度を下げるしかないですよね?」
「ヘリオスタットで石を温めて、温室の夜間の温度を上げるだろ? これは農耕には必要だな」とアンジェが言った。
「そうですけど、農耕は優先度を下げるしかないですよ」
「ま、慌てるな。ヘリオスタットの能力はとりあえず今のままでいい。それで石を温めて夜間に温度低下を防ぐ実験をしていれば農耕の開発に見えるだろ?」
「そうですね。火星の夜間は寒すぎますから、農耕をするには夜間に温度を上げる必要がありますが、まだ見えないですよ」
「その温室の温度をCO2バッテリの効率向上に利用する。CO2バッテリはドライアイスの気化する力を利用するが、夜間は気化量が少ないため利用が難しいが、温室を利用すればドライアイスの気化が早いので発電量が上がる」
「昼間の余剰電力が有効活用できますね」
「そうだ。現状の電力不足にも役に立つし、農耕にも力を入れているように見えるだろ?」
「アンジェは今の作業が仕事に役立っているということ考えさせると、昔から悪知恵が働く」とビアンカが言った
「悪知恵? 真っ当な活用方法を提案しているだけですよ」
「そうか? 千秋がやっている人工脳モデルが面白そうだから手を回して仕事としてNASAを納得させたのだろ?」
「実際、宇宙航行オペレーションにも利用できているので仕事になっていますよ、問題ないじゃないですか?」
「アンジェが私のところに来る時もそうだったろ?」
「あれは、ドクター論文の作成ですから」
「そういうことにしといてやる」
私はビアンカとアンジェの会話を遮り、話しかける。
「あのー。アンジェ、鉛やアルミニウムの採掘は必須なので採掘をお願いします」
「ん? わかった」
「じゃ、本日の議題は終了! 今日はイタリアンにしてみました。ドルチェもありますよ」
私はシーザーサラダとミネストローネを出した。
「兎、電気使用量が多いのは兎が一番なんじゃないか? 城下町のNPCや温泉のためのGPU利用量が多すぎる」と千秋先生が言った。
「精神衛生のために必要なんです」
「精神衛生のためにある程度必要なのはわかる。城下町とシンデレラ城は最近行っていないだろ?」
「はい…」
「だったら、停止だ」
「えー!」
「行きたくなったら、出せばいいだろ? 電気代の無駄だ」
「はい。わかりました」
ビアンカとアンジェがこちらに関わらないことを決め込んで、サラダを食べている。
ビアンカに責められるアンジェを助けたのに、助けてくれないの!?




