有人火星ロケット到着
月日は経過し、私たちが火星に来てから2年になる。
その間、地球では私たちが撮った映像に人影が映ったとかで地面を撮れだの赤外線カメラを設置しろだの指示が来て対応しなければならなかった。
もちろん、そんなものはいないのに、時間の無駄遣いだわ。
こちらはメタンの製造や鉱物資源の開発があるのに、リソースを取らないでほしいわ…
今日は地球からロケットが到着する。
そのロケットには人が乗り込んでいるが、アルジャーノンも乗り込んでいる。そのため、こちらのアルジャーノンが連絡を取り合っている。
火星に来た人たちと挨拶をいつするのかな?と思っていたら、しないらしい。
どうしてなんだろう…
火星の衛星軌道にロケットは到着し、先行で機材のポッドが投下される。
その投下されたポッドを回収した。
なんと上空から撮るためのドローンまであるので、それを組み立てる。
無駄だなぁと思っていたら、ビアンカが空撮がないと盛り上がらないと言って入れさせたそうだ。なぜビアンカが乗り気?と思っていたら、ドローンは火星の渓谷の状況確認で必要らしい。
なるほどね。実益があるのね…
ポッドには撮影と通信用の機器が入っており、それを5台のローバーが装着した。
元々の計画ではポッドにローバーを積む計画だったが、ローバーは我々が提供できるから資材を多く積む交渉をした結果だ。
撮影は地上のローバー5台と我々のベースキャンプ、そして我々が乗ってきたロケット、そして有人ロケットから撮影する。
計画段階で、誰が一番最初の着陸船に搭乗するかで揉めたらしく、全員が乗ることになったらしい。宇宙船にはアルジャーノンがいれば問題ないので全員らしい。
それなら、人が来る必要ないじゃん…
そして、人類の偉業である初の火星到着の映像を全世界に生中継する。
全員で手を繋いで一度に降り立つなんて案があったらしい。
女子高生が「みんなで一緒に行くよー。せーのっ!」という掛け声でジャンプするイメージが横切った。ま、それはそれでゆるくていいかもしれないけど、アメリカには理解されないだろうなぁ。
実際はポッドの出口は狭く、ハシゴも一つなので全員はできないので却下されたと思っていたら、最初の一歩を高解像のカメラで写す演出が必要だから、船長が最初に降りるらしい。
地球からは、絵コンテが送られてきていて音楽の指定もある。カメラ配置まで決まっていて、それに従って撮影をする。
資料にはハリウッドで作成されたイメージCGまである。本物みたいに見えるCGだ。本当に撮影しなくても、このCGでいいじゃん…
こちらでリアルタイム編集しながら音楽を入れて生配信する。
説明などの音声は各国でつけるため、説明はつけないとのことだ。
ドローンの組み立てと試験飛行も問題がないく、準備は整った。と言ってもアルジャーノンが整えたのだが…
私は映画監督になったつもりで、映画監督が座るような折りたたみの椅子?に座り、生放送用の画面を中心で、ローバーなどの各カメラの映像を周りに配置した。
生放送用の画面には私たちのロケットから有人火星ロケットを写した画像にカウントダウンの数字が表示されている。
「兎先生、椅子ってこれ? これに座るの?」と伊織が言った。
「そうよ。やっぱり、映画撮影みたいなものなんだから、椅子はこれでないと気分が出ないでしょ? みんな、座って」
「映画といえば、映画館の椅子じゃないの?」
「これは映画撮影なのよ。映画館の映画は録画済みでしょ? でも何か物足りないのよねぇ」
「足りないのはポップコーン? それともコーラ?」
「それは、映画館で見る場合でしょ? そうだ、黄色いメガホンよ。これがないとね」
「メガホンで叫ばなくても、アルジャーノンに通じますよ」
「指示しても、シナリオ以外の映像は流せないですよ」と小織が言った。
「そうなんだけど、いいじゃない。雰囲気が大事でしょ」
「…」
と話していたら、「兎さん、始まりますよ」と神木さんが言うと、カウントダウンが止まり音楽が止まった。




