人類初火星到着までに...
地球ではお金を出せばかなり色々な資源は手に入るが、ここではそうはいかない。火星での生活も2ヶ月経過し、悠人が磁石が不要の同期リラクタンスモーターが完成させた。出力もなかなかだ。
悠人はロボットを早く作りたかったようだが、CO2バッテリのコンプレッサーに利用した。
これで電気の貯蔵量も増やせる。
悠人は義務は果たしたというように、ロボットの作成に着手した。もちろん、鉄はまだ希少なので、できるだけポリカーボネートを多用することで鉄の使用量を抑えたロボットが完成した。
耐久性の確認はこれからで、運用しながら改良するそうだ。
これでローバーだけでは難しい開発も可能になるので助かるけど… 悠人は私からできたのに、見た目が男の子だからかロボットとか男の子っぽいのが好きなんだよねぇ。でも、ピアノも好きだからそうとも言えない。
どういう理屈で性別が出来上がっているのかわからない。謎だね。
火星での生産が見え始めたからなのか、地球では有人火星計画が再燃し始めたらしい。
精製の不産物で純水は手に入るし、酸素もある。だから、帰りの燃料も十分に確保できるという計算らしい。
こちらにはまったくメリットがないと文句があったが、来る時にはお土産として、嵩張らないコンピュータチップとペブロスカイト太陽電池の材料などを持ってくるそうだ。
ビアンカは火星に来るまでの間にメタンを開発し、そのメタンを帰りの燃料として利用できると論理を展開し、もっと資材を持ってくるようにNASAと交渉している。
「ビアンカ、メタンは作るとしても、どうやって宇宙に送るの? 火星に来た人が火星の地表から離れるときに一緒に持って上がるの?」
「それじゃ、量が足りない」
「じゃ、どうするの? ロケットがないから、ロケットを作るって言わないよね?」
「ロケットは火星では効率が悪い。だから、放り上げる」
「放り上げる? 放り上げるって投げるってこと? 地表から宇宙まで!?」
「そうだ。バケツに水を入れてぐるぐる回して、手を離せば飛んでいくだろ?」
「…はぁ。そうですけど、それで宇宙まで飛ばすのですか? すごい速さでぐるぐる回す必要がありませんか? 放すタイミングも難しいですよね? それに、小学生男子の発想のようですけど…」
「ま、確かに小学生男子っぽいな。だが、計算上は可能だし、地球でも実現できている」
「そうなんですね」
「火星の重力は3.72m/S2だ。地球より軽いし、大気も薄い。本当は真空にした空間内で超伝導モーターで回して加速したいが、超伝導モーターはあるが液体窒素をまだ作れない。だから、夜にドライアイスで冷やしながら高速回転して投げ上げれば、電気抵抗が小さくなるので、10Kgなら届く。計算上は… 液体窒素があればもっと効率が良くなるが、しかたがない。大容量の電気が必要なので、アルミとグラフェンでスーパーキャパシタを作る必要がある」
「アルミはアルミニウムですよね? グラフェンってなんですか?」
「炭素だよ」
スーパーキャパシタって『凄いキャパシタ』? これも小学生男子のようなネーミングね…
「スーパーキャパシタはなんですか?」
「電気を貯める」
「CO2バッテリも電気を溜めますよね?」
「あれは、安価に溜められるだけだ」
「じゃ、スーパーキャパシタとの違いは?」
「一気に大電力を出すことができる。超大型にはできないし、高価だ」
「へぇ。で、10Kgって容器も含んだ重量ですよね?」
「そうだ。だから、メタンを液体にして容器ごと、何回も放り上げる」
「本気なんですね」
「本気だ。火星で開発をするには、地球からの補助が必要だから頑張る必要がある」
「そうですね…」
「頑張るのはアルジャーノンだがな」
「アルジャーノンは本当に役に立ちますよねぇ」
「地球にとって我々はアルジャーノンだよ」
「そっか、立場を変えればそう見えますね」
「地球にとって従順な開発拠点に見える必要がある。地球が我々を見捨てるか我々を敵視するまでは…」




