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分析室3

 今日も橋田さんに相談するため分析室に直行した。

「こんにちは、橋田さん」

「詩織さん、こんにちは」

「今日も質問に来ました」


 橋田さんは少し緊張した様子だった。

「なんですか? 難しいことを聞かれてもわからないよ」


 橋田さんの協力が今後も必要なので、少しおだてておくか。

「橋田さんが頼りなんです。教えてください」

「そう? なんでも聞いて」


 うん。橋田さんの機嫌は上々なので、質問をする。

「この前、橋田さんは、神木さんが調べられているという話をしていたじゃないですか?」

「したね」

「私も調べらているんです」

「そうなの? 香織さんは知っているよね?」

「はい。もちろん」

「質問なんですけど、神木さんが調べられていることにどうやって気づいたのですか?」


 橋田さんは意外な質問という顔をした。

「え! 量子の質問じゃないんだ… セキュリティに関することだから詳しくは言えないけど… 神木さんがここで仕事するから監視対象になっていて、その監視に引っかかったからだよ」

「どんな監視ですか?」

「本人の家とその周辺だけじゃなく、旧職場も対象だね。あとはネットだね」

「ネットはどんな監視ですか?」

「検索対象となっているかとか、関係するサイトへのアタック状況とかかな」

「膨大な量じゃないですか?」

「だから、ここで分析しているんだよ」

「2人しかいないんじゃないですか? できるんですか?」

「詳しくは言えないけど、2人じゃないよ。それに、AIを利用しているから手はあまりかからないよ」

「へぇ。AIですかー」


「次はAIの質問かい?」

「いいえ、質問は量子のことです。でも、調べるということでは関係なくもないです」

「じゃ、何が聞きたい?」

「この前、MRIで調べると影響があるんですすよね?」

「影響って人体に?」

「そうです」

「吐き気・嘔吐,熱感,皮膚の異常なんかがあるよ」

「MRIの磁気の副作用ですよね?」

「もしかして、免疫抑制剤の服用が少なくなったことと関係があると思ってる?」

「はい」

「MRIの副作用は強力な磁気のせいだよ。神木さんの実験での磁気を計測しているけど、MRIほどの磁気は計測されていないよ」

「そういえばそうでした。うーん。なんか手詰まりな気がします」


 私が落ち込んだ表情をしていたからかもしれないが、橋田さんは明るく話をした。

「そうかなぁ。まだまだできると思うよ。だって、神木さんの結果は、免疫抑制剤の服用が少なくなったこと、偏頭痛の軽減、電磁波過敏症の悪化だよね」

「そうです」

「これって全て免疫が関係している可能性があるよ」

「え!そうなんですか?」

「免疫抑制剤は言うまでもなく、免疫だよね。偏頭痛は免疫力が低下している人に発生しやすい。で、電磁波過敏症だけど、これも免疫力が低下している人に発生しやすい。ね、関係あるでしょ?」

「偏頭痛や電磁波過敏症も同じ免疫が関係しているなんて… すごいです、橋田さん! … … あれ?橋田さんおかしいですよ。私の例が入っていませんよ」

「気づいちゃったかー」


「ありがとうございます。まだ考えることができることがわかりました。私が例外だけど、免疫について考えてみます」

 私は考えをまとめるために分析室を出た。

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