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絵梨香の考察

 絵梨香さんとの実験が始まった。前回と同じなのでサクサク実験は進んだ。

 今回は3日で終了。最近ずっと高性能MRIを利用しているからか、取得値が前回より良いらしい。


「絵梨香さん、兎さんの実験も実施しているのですか?」

「兎さんの実験は1日で終わったわ」


「速いですね」

「兎さんには高性能MRIなんていらないからね。簡単なのよ」


「何かわかったことはありますか?」

「まだ解析中だけど… 兎さんって詩織さんのコピーと思えるぐらい一緒でしょ?」


「そうですね。双子と思えるぐらいですね。試験で行ったこと以外の記憶に関しても継承されているのって不思議ですよね」

「記憶のメカニズムはまだ解明されていないことが多いけど、1つの作業をするだけで脳の前頭前野が主に動くけど、頭頂皮質、前帯状皮質、大脳基底核、海馬、下側頭皮質も活動するわ」


「そんなに活動するのですか?」

「名前が関連したりするともっとね。脳は相互に関連して活動しているから、千秋さんが小学校からのカリキュラムでデータを取得を計画したことは、満遍なく効率的にデータを取得するために効率が良い方法だったと思うわ。満遍なく取得できたデータに詩織さんの記憶に関する情報も含まれていたと考えられるわ」


「なるほど。でも、完全にすべてのデータを取れたわけじゃないですよね?」

「そうね。完璧には程遠いわね」


「じゃ、どうして兎さんは私の記憶があると思えるぐらいなのですか?」

「おそらくだけど、最初は兎さんは解像度の低いデジカメでの写真みたいな状態だったと思うの。兎さんが千秋さんや他の人と会って自分が詩織だと認識することで、記憶の強化が進んだと思うの。それで、白いモヤがだんだん晴れて見えるように解像度の低い画像が高解像度に変化したと考えているの」


「なるほど、兎さんが詩織であると軽い認識だったのが、周りの状況で強化されて自分は詩織だと認識が確立したということですか?」

「そうかもしれないわね」


「じゃ、他の子供達は?」

「小学校の低学年程度までの実験の情報だから、もっと低い解像度の画像だから詩織さんと認識できる情報はなかったと思うわ」


「そんな低い情報だと、歩くことも喋ることも問題では?」

「だから、小学校から順に試験を実施したことがよかったのよ。小学校の低学年は体を動かしたり基本的なことが多いでしょ? それに、国語は音読するし。人が生活するために必要な基礎情報は十分あるのよ。だから、歩くことも喋ることには問題なかったと思うわ。でも、謎なのは神木さんよ」


「そうですよね。千秋先生や沙織お姉ちゃんや香織お姉ちゃんができる方が自然なきがしますもの。それに、私の脳内会議のメンバも発生しなかったし…」

「詩織さんは脳内会議をするのね。私はブツブツ言う癖があって自分で自分に問いかけるわ。だから他人は出てこないけど、詩織さんの脳内会議は何人でてくるの?」


「3人の時も4人の時もありますよ」

「へぇ。いいわねぇ。賑やかで楽しそうね。私はできないのよねぇ…」


「絵梨香さん、仮想世界の男の子って理知的というか、小学生男子のバカっぽいところがないような大人びた感じがしませんか?」

「そう言えばそうね。森で走り回ったりしているけど、その程度ね。それに、ピアノもかなりうまいし…」


「それは、私がベースになっているからかしら」

「わからないわね。詩織さん以外の例はアンジェだけね。アンジェをベースとしたアダムもカインも大人びているわね。男の子の無邪気さは少ないわね。私、男の子の無邪気さは結構好きなんだけどね」


「あ、わかります。子犬みたいですよね」

「自分が小さいときにはバカで嫌いと思っていたけど、自分の年齢が変わると変わったのよね」


「私もそうでした。それって、自分が成長したからですかね?」

「体の変化なのか、脳の変化なのかはわからないわ。自分の容姿は外部からどう判断されるのかなどの自分の立ち位置で行動様式を変化させるので、社会的バイアスでそうなっているのかもしれないわね」


「じゃ、颯人、悠人、理人は容姿が男の子だから男の子として振る舞っているのですね」

「だって、脳は詩織さんがベースだもの。そうなるわね」


「私も男の子として振る舞えるということですよね。ちょっと不思議」

「演劇で役になりきっている状態かな? 自己暗示もあるんだろうけど…」


「私の今の末娘としての役を演じて、お父さんに甘えるわ」と言い、私は帰った。

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