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小太郎

 すぐに弱視の人や色弱の人や耳が聞こえない人で試験をすると思って聞いたら、「寝る!」とのことだった。

 そうか、徹夜だったね…


 私は高性能MRIをつけて「リンクスタート」と唱える。


 リビングに転送されたが、誰もいない… 最近、いないねぇ。

「琥珀、兎さんのところに転送して」

 机の上がひかり、琥珀が現れ「はい」と言うと転送された。


 森だ。

「おはよう。兎さん」

「おはよう、猫さん。今日は早いのね」


「試験も終わったからね」

「あ、そんな時期なのね」


 兎さんが少し寂しそう… 大学に行けてないものね…

「凛ちゃんは元気にしてる?」

「元気にしているわよ。あそこにいるわ」


 兎さんが指をさした先に凛ちゃんとウサギが戯れている。ん?その隣にゴールデンリトリバーがいるよね?

「ゴールデンリトリバーの子犬がいるよね? もしかして、人工脳モデル?」

「そうだよ。かわいいよねぇ。バイスちゃんが家に来た時を思い出すわ」


「うん。そうね。かわいい」

「名前は何?」


「小太郎だよ。伊織が名付けたわ」

「小太郎か。親犬アルジャーノンはいるの?」


「太郎をつくったんだけど、ウサギや凛ちゃんとすぐに遊び出したから辞めちゃった」

「どうして? ウサギはだしているじゃない?」


「うーん。猫と犬はどうしても違いが気になっちゃうんだよねぇ」

「そっか、身近だものね」


「凛ちゃんと小太郎には変なところはないの?」

「お腹が減るというという情報を与えているけど、餌には興味を示さないことと、鳴かないわ」


「バイスちゃんも鳴かないじゃない?」

「うーん。そうだけど… 鳴き声を聞いたことがないの」


「そっか。それ以外は変なところはないのね?」

「ないわ」


 私は、問題なく成長できるんだなぁと思って、私はしゃがんで、小太郎を呼んだ。

「小太郎〜。おいで〜」


 おー、呼んだら反応して来るよ。短い足を小さくバタバタ動かしてこちらに来る。

「ぬいぐるみみたい! かわいい!」

 私は小太郎を撫でた。

「すごいね。呼んだら来たよ。私が呼んでも来ないのに…」

「そうなの?」


 私は小太郎を撫でながら、「凛ちゃんは相変わらずウサギにべったりね」と言った。

「そうなんだよねぇ。寝る時も一緒なんだよね」


「凛ちゃんって寝るの?」

「たぶん、寝てるんじゃないかな? 息をしていないから死んじゃったんじゃないかと最初は心配だったけど…」


「息していないの?」

「たぶん。だって必要ないじゃない?」


「そうかもしれないけど、もしかして、兎さんも息していないの?」

「うーん。意識していないわ。喋るときに息継ぎはしているからしていると思うけど…」


「じゃ、早口言葉を連続10回とかでも息しない?」

「なるほど。やってみるね。七生麦 七生米 七生卵 七生麦 七生米 七生卵 七生麦 七生米 七生卵 七生麦 七生米 七生卵 七生麦 七生米 七生卵 七生麦 七生米 七生卵 七生麦 七生米 七生卵  七生麦 七生米 七生卵 七生麦 七生米 七生卵 七生麦 七生米 七生卵」


「すごいわ。間違わないし、速いし。で、息した?」

「必要ないわね。それに、間違う気がしない」


「私言えないもの」

「もしかして、私達って思っていたより猫さん達と違うのかも…」


「そうかな? 同じにしか思えないけど」

 小太郎がなぜ撫でるのを辞めた? 言いたげに私を見上げているので、私は小太郎を撫でた。

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