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ニャン吉製作委員会 その5

 千秋:「兎はご飯をどの頻度で食べる?」

 兎:「2日おきぐらいかしら… 最初は昼と夜を食べてたけどやめちゃったわね」


 千秋:「伊織と小織はどうだ?」

 伊織:「私たちは詩織先生に呼ばれて食べるわ」


 千秋:「颯人、悠人、理人もか?」

 伊織:「そうよ」


 千秋:「兎、毎日食べるようにしろ」

 兎:「わかりました。でも、どうして?」


 千秋:「意識して通常の生活をしないと、人として変化する可能性がある」

 兎:「どういうことですか?」


 千秋:「ここに重力がなければ、兎は歩くか?」

 兎:「歩けないから歩かないわ」


 千秋:「さっきの子猫は水も飲まないのだろ? 普通の猫じゃない」

 兎:「それはそうですけど… 私たちも人工脳モデルだから普通じゃないですよ」


 千秋:「いや、兎達は詩織をベースとしているから食べることに関して違和感がないだろ?」

 兎:「はい」


 千秋:「この環境で食べるということを教えるのは難しいと思うぞ。空腹を感じないだろ?」

 兎:「空腹を感じません。そっか、だから最近は同じ食事でも美味しくないのかな? 空腹って作れませんか?」


 千秋:「喉の渇きと空腹は実装しよう」

 猫:「兎さんはどんなものを食べているの? 私、ケーキ以外知らないわ」


 兎:「和食も洋食も中華もあるわよ。微妙なものも多いわ。美味しいものは5品ほどかしら」

 猫:「え! そんな少ないの?」


 兎:「味、食感を再現するのはかなり大変なの」

 猫:「琥珀にお願いすればできないの?」


 兎:「だいたいの味、食感を作ることはできるようになってきたわ。でも食材の組み合わせで味も変わるし、食感も変化するでしょ? そこまでは調整できないの」

 猫:「そうなのか… ケーキはかなりすごいと思うけどどうやっているの?」


 兎:「だって、ケーキがないと生きていけないじゃない? だから、気合いを入れているわ」

 猫:「ふふ。ケーキは必須ね」


 千秋:「できるだけ、食べ物を増やしておけ」

 兎:「千秋先生は反対するかと思ったけど…」


 千秋:「あの猫も喉の渇きと空腹を実装する。その時の変化を報告するように」

 兎:「わかりました」

 千秋先生は食べ物の種類を増やす理由はなぜ言わないんだろう? 気になるだけなのかな? それともここで言いたくないのかな? 後で聞いてみよう。


 千秋:「詩織、ログアウトするぞ」

 猫:「えー! 凛ちゃんとまだ仲良くなってない!」


 千秋:「凛ちゃん? あの子猫の名前か?」

 猫:「そうです」


 千秋:「またにしろ」

 猫:「はい…」


 私たちはログアウトした。

 ログアウトすると、河野さんがいた。私が河野さんに挨拶をする前に千秋先生から質問された。


「詩織、なぜ猫のことを報告しなかった?」

「猫アルジャーノンが育てるなら、猫を育てることができるという話になったのは昨日ですよ? それに、猫の目や鼻や耳も必要だし、小脳や脳幹も必要でしょ? すぐにはできないと思っていたもの」


「昨日は何もかもなかったのに、今日には猫がいるのか…」

「信じられない速さでしょ?」


「どうやって、猫の小脳や脳幹を用意したかを知っているか?」

「琥珀に依頼したから、琥珀が作ったと思うわ」


「琥珀すごいな… 優秀だな。人のモデルを作るにどれだけ日数がかかったか…」

「すごいですよね」


「明人君、詩織。仮想世界で猫を育てたんだぞ」

「そうですね。びっくりですよね」


「違う。これは新たな問題だ」

「どういうことですか?」


「神木君は一般に公開したので、新たなAIとしてに認識されているが、光量子コンピュータでないと動かないと考えられているので、光量子コンピュータが増産されていない現在、問題となっていない。しかし、アダム達の存在がバレたら根底が覆される。しかも、仮想世界で新規の人類も作ることが可能な可能性が出てきた」

「ここでしか生活できないのですから、問題にならないのでは?」


「彼らは生活している。情報は完全に隠蔽し続けることは難しい」

「そうですか… さっき、兎さんに空腹や喉の渇きを実装することや、食べ物を増やすという話をしていましたけど、関係するのですか?」


「いや、そうじゃない。アダム達の存在がバレ、ここの仮想世界の情報が漏洩した場合、実世界との乖離はない方が世間の拒絶反応が小さいと思っただけだ」


「明人君、兎達と子猫に空腹と喉の渇きを実装しておけ」

「…わかりました」

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