ニャン吉製作委員会 その1
私はニャン吉を仮想世界に召喚する方法を兎さん達と相談するため、仮想世界に入る。
「リンクスタート」
リビングには誰もいない。最近いつもリビングに誰もいないなぁ。
「琥珀でてきてー」
テーブルの上がきらりとひかり、琥珀が現れた。
「こんにちは、詩織さん」
「こんにちは、兎さんに会いたいのだけど、どこにいます?」
「シンデレラ城です。転送しますか?」
「はい」と言うと、シンデレラ城の一室に転送された。
そこには、兎さんと伊織と小織がいた。
猫:「こんにちは、兎さん、伊織、小織」
伊織:「こんにちは、詩織さん」
兎:「こんにちは、猫さん。新作のケーキを試してみて」
猫:「新作! やった! この中が緑のバスクチーズケーキ?」
兎:「バスクチーズケーキなんだけど、ピスタチオを練り込んでいるの」
猫:「新作と言ったけど、自作なの?」
兎:「今までは、有名店の再現をしていたんだけど、材料がわからないので難しいのよ。だから、ネットで公開されているレシピを元にしているの。そうすると、材料はわかるでしょ? 味なんかは想像だけど…」
猫:「苦労しているわね」
兎:「食べて感想を教えて!」
私の感想を兎さんも伊織も小織も待っている。
猫:「焼き付けている苦味とピスタチオの風味がして美味しいわ」
伊織:「私はもう少し甘い方がいいかな?と思うんだけど…」
猫:「そう? じゃ、少し甘みと酸味でラズベリーを入れるとかは? ラズベリージャムを少しかけて食べてみたら?」
「いいわね!」と言うと、伊織はジャムを出現させ、かけて、食べて考えている。
兎:「今日は何か用があったの?」
猫:「今日はね、ニャン吉をここに召喚できる方法を探ろうと来たの」
兎:「ニャン吉に会いたいなぁ。何かアイデアがあるの?」
猫:「まだないわ。でもみんなで考えればできるんじゃない?」
兎:「ニャン吉の大脳があるけど、それ以外がないのよね。それってどうしようもないんじゃない?」
伊織:「それって、猫の体がないってここですか? 私たちの体って、けっこういい加減じゃない? それでいいんじゃないかしら」
兎:「いい加減?」
伊織:「だって、体温や手触りはあるけど、内臓はないでしょ? それに、怪我しない」
小織:「木から落ちると痛いけどね…」
伊織:「怪我しないのに痛みがあるって… わざと痛みをつけているらしいけど、面倒よね」
兎:「あなた達が危ないことをするからよ」
伊織:「話が脱線したけど、猫の体だってその程度でいいのでしょ?」
猫:「その程度というけど、かなり大変らしいわよ」
伊織:「そうなのですか… 体はできるし、脳幹も変化をあまりしないから初期状態のままでいいでしょ? すると小脳が初期状態のままだとバランスが取れない?」
猫:「そうらしいわね。それにリズムも取れないらしいわ」
伊織:「じゃ、やっぱりできないじゃない」
小織:「人って最初は初期状態なんですよね?」
猫:「初期状態? そうね。親が教えるわ。ニャン吉は大脳に腫瘍ができたから、大脳モデルに置き換えたらしいわ。それをルナという親猫が育てたの」
小織:「じゃ、私たちが親になって初期状態の猫をニャン吉にするっていうのはどう? ニャン吉がどんな猫なのかは触れ合ったことがないからわからないけど…」
兎:「24時間お世話して育てるということ? そうね… 私達ならできなくはないわね」
小織:「猫をお世話することはできるけど、お世話して猫になるのかな?」
兎:「わからないわ」
小織:「ここに猫がいればいいんだけど…」
伊織:「だから、いないから問題なんでしょ?」
小織:「じゃ、猫もどきを作る?」
伊織:「小織、分かっていないわね… それができるなら最初から猫を作れるじゃない!」
小織:「違うわ。アルジャーノンはネズミじゃない? 猫の姿をした猫っぽい動作をするアルジャーノンを作るの。その猫アルジャーノンが初期状態の猫を育てるの」
兎:「猫アルジャーノンが作れるかどうかを確かめるのが先ね。琥珀いる?」




