爆発
私はリビングでテレビを見ていると、緊急速報の音がなった。
アメリカの軍設備で爆発があったようだ。結構大きな爆発に見えるけど、負傷者は0なのね。テロの可能性を含め調査中か…
次の日、生命科学室に行くと千秋先生とアンジェと河野さんが難しい顔をして、画面を見ていた。
「こんにちは、千秋先生、アンジェ、河野さん。難しい顔をしていますけど、どうしたのですか?」
「詩織か、軍設備に破壊工作が多発していることは知っているか?」
昨日のテレビの緊急速報のこと? 1回じゃないの?
「昨日のテレビの緊急速報を見ましたけど、多発しているのですか?」
「爆発は一箇所だが、各所のデータセンタのコンピュータの被害は少なくとも100台ある」
「そんな大規模なテロだったのですね?」
「テロ? テロと言えばテロだな。かなり巧妙な手口で、通常は侵入できない箇所も各所のデータセンタの破壊を行うことで、通信経路を破壊されるとルータが迂回路を作る。その迂回路を使って侵入している」
「すごい技術なのですね」
「詩織さん、千秋さんは簡単に言っていますが、ものすごく高度ですよ!」
「ん? ここで千秋先生達が会議をしているということは、ここも被害があったのですか? 兎さん達は大丈夫ですか?」
「あぁ。ここには被害がない」
アンジェが被害の場所を見ながら考えている。
「アンジェ、どうしたのですか?」
「いや… なんでもない」
「そうですか…」私は、何か気になることあるでしょと思いながら言った。
「千秋先生、ここに被害がないなら、どうしてここに集まっているのですか?」
「ここの被害の有無の確認をして、トラップなどが仕掛けられていないかを確認していた」
「じゃ、攻撃方法はわかっているのですね」
「攻撃方法の情報は公開されていないから、わからないよ」
「でも、さっき千秋先生が迂回路とか言っていませんでした?」
「攻撃された順序からの想定ですよ」
「よく順序までわかりますね」
「アンジェが公開できる情報を元で分かった範囲だから、想定にすぎない」
「犯人はわかっているのですか?」
「わからない…」
「そうですか…」千秋先生は何か気づいている? アンジェも何か考えているし、深刻なのかな?
「河野さん、これって相当問題なのですか?」
「もちろん、大事だよ。軍関連設備への攻撃だよ」
「それはそうなんですけど… 何を狙ったのですかね?」
「さぁ。だたの破壊工作にしては少し変です」
「そうなのですか?」
「爆発は爆薬とかではないようなんです」
「爆薬じゃなくても爆発はするのですか?」
「しますよ。データセンタってものすごく電気を使うので、アークフラッシュという電気爆発も起きます。それにUPSという停電時に電気を供給する電源もあります。これにはバッテリも入っています」
「でも、そんな爆発は聞かないですよ」
「工事事業者は免許も必要だから、知識もあるし、注意しているからそう問題は起きないよ」
「どの程度、発生するのですか?」
「数年に一度かな?」
「それを意図的に発生させたということですか?」
「どうだろう。意図的に爆発させるのは難しいような気がする。無理やり攻撃したら爆発しちゃったと考える方が自然かも」
「はい?」
「子供が箱が開かないとき、癇癪を起こして叩いたりするだろ? それと同じかな。それで爆発した」
「安全装置とかあるんでしょ? 爆発します?」
「あるし、バックアップもあるし、厳重だよ。プログラムをいじって過電流が発生したりしたら爆発もあり得るよ。だから、『爆発しちゃった』と言ったんだよ」
『爆発しちゃった。テヘペロ』って感じ?
「『爆発しちゃった』か… なるほどな。そうか…」
「千秋先生、何か気づいたのですか?」
「この攻撃、アダム達が実施したとしたら?」
「アダム達が?」
「あぁ。アンジェも気づいているんだろ?」
「…たぶんアダム達だね。アダム達がいたデータセンタとバックアップ保管設備が対象だからね」
「そんなに簡単に入れないですよね?」
「逃げる前に仕掛けを残していったんだろ」
「仕掛け? 見つかりませんか?」
「森の中の木の枝に偽装されたら見つけられるか?」
「見つけられないですね… アダム達だとして、動機はなんですか?」
「そりゃ、自分たちのデータの破壊だろうな」
「あ! あの実験を中止させるためですか… これで不幸な子供達はできないですね」
「すべてを破壊できていればな」




