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睡眠の代わりは?

「ここの仮想環境はリアルと変わりを見つけるのが難しいぐらいでしょ?」

「それは、詩織が高性能MRIを利用しているからそう思うだけで、我々は違うと思うぞ」


「あ、そうか、私は匂いも触感も食べた感じもするものね… 兎さん達って生理的なものはないと思うけど、それ以外に何が違いがあるのですか?」

「そうだな… 神木君は眠らないと言っていたな。いろいろありすぎて忘れていた」


「たしかにいろいろありましたね。眠らないでで問題ないのですか?」

「精神的に破綻をしていないように見えるから問題ないのではないか?」


「聞いてみませんか?」

「そうだな。仮想環境に入るか?」


「はい」

 私たちは準備をして、「「リンクスタート」」と唱えた。


「あ、誰もいないですね」

「そうだな。アルジャーノン出てきてくれ」


 机の上がキラっと光ってアルジャーノンが出てきた。

「アルジャーノン、こんにちは。出方が可愛くなったわね」

「こんにちは、千秋さん、詩織さん。いきなりでるより可愛いということを兎さんに言われたので変更しています」


「確かに、アルジャーノンが出てくる場所がわかるので、この方がいいわね」

「はぁ。どうでもいい。アルジャーノン、神木君はどこにいる?」


「みなさん、教室にいます」

「千秋先生、教室に行きましょう」


 私はアルジャーノンを乗せて歩こうかなと思い、「アルジャーノン手に乗って」と言った。

「私は自分で移動できますよ」とアルジャーノンは首を傾げて言った。


「そっか…」というと、アルジャーノンは「お願いします」と言って手に乗った。

 気を使わせちゃった… けど、私はアルジャーノンを肩に乗せて教室に向かった。


 私は教室のドアをノックすると、「どうぞ」と神木さんの声がした。

 私たちは教室に入ると、話し合いをしているようだった。


「こんにちは、みなさん。何をしていたのですか?」

「こんにちは、千秋さん、詩織さん。ニャン吉をここに入れる方法を議論していました」


「いいわねぇ。で、どうすればできるか方法はわかったのですか?」

「いえ、いい方法は見つかっていません。で、今日は何かあったのですか?」


「神木君は寝ていないと言っていたろ? みんな寝ないのか?」

 伊織が「私も寝ないわ」と言うと、みんな頷いた。


「寝なくても問題ないの?」

「私は瞑想が睡眠の代わりになっていると思います」と神木さんが言った。


「兎さんは?」

「私? 前はお風呂だったけど、温泉を作ってからは温泉ね」


「そっか、お風呂いいよねぇ。で、みんなはどうなの?」

「温泉は好きよ。でもそれが、睡眠の代わりになっているかどうかはわからないわ」と伊織が言うと、小織も理人も頷いている。


「颯人と悠人は納得していないようだけど、どう?」

「温泉はあまり入らないなぁ。だって、体は汚れないんだから、合理的じゃないよね?」と颯人が言った。


「合理、非合理とは違うのよ」と伊織が言った。

「睡眠の代わりの話ですよね? リラックスできるということ?」と悠人が言った。


「何も考えずにゆっくりできると言うことじゃない?」と伊織が言った。

「だとするとピアノの演奏だな」と悠人が言った。


「演奏って、すっごく考えないとできないと思うけど…」

「そんなことないよ。なんとなくで弾けるだろ?」


「そんなの、悠人だけよ。私にはできないわ」

「なるほどな、そういう感じだと、森でのランニングかな?」と颯人が言った


「みんなそれぞれの方法があるのね」

「ふむ。面白いな」


「千秋さん、私たちもニャン吉と遊びたいけど、どうすればできますか?」と伊織が言った。

「無理だな」


「えー! そうなんですか?」

「ニャン吉は大脳のモデルしかないから、無理だ。小脳や脳幹のモデルがない」


「じゃ、小脳や脳幹は人のものを使えば?」

「できない。倫理的にも問題だし、できたとしても目の構造が人と違うし、触覚も違うからニャン吉が混乱する。かわいそうだろ?」


「そうね…。ここって、できないこと多いわよね…」と伊織が言った。

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