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分析室1

 4月になった。大学に行くと、優佳が私を見つけて声をかけてきた。


「詩織、おはよう。元気になったんだね。お見舞いに行こうとしたけど、詩織のご家族に止められて、行けなかったの」

「優佳、おはよう。元気になったよー。ごめんね。親が心配してお見舞いは遠慮してもらったみたい」


「元気になったと言うけど、ちょっと痩せたんじゃない?」

「毎日トレーニングをしているから、体が締まったの!」

「運動が嫌いな詩織がトレーニング? 信じられない」


「あ、流通経済論に出るんでしょ? 急がなきゃ」


 今日は2コマの授業を受け、千秋先生のところに行くために車に乗った。

 車は市ヶ谷のビルの駐車場に止まった。携帯にはIDが登録済みなのでエレベータが勝手に開き、地下5階に移動した。携帯に『千秋部屋』までの案内が出た。


『千秋部屋』って…、その『千秋部屋』を開けたら、河野さんがいた。

「こんにちは、河野さん」

「こんにちは、詩織さん。詩織さんの席はそこね。端末も英語キーボードのMacを用意しているよ。千秋先生も来ると思うよ」と言ったと思ったら、千秋先生が入ってきた。


「詩織、ようやくきたね」

「こんにちは、千秋先生」

「神木君の試験の情報はその端末で参照できるよ。神木君の仮説に関する情報も参照できるので見てね」

「じゃ、資料を早速見てみます」


 私は資料に目を通した。

 仮説は、『共振』? 複数の振り子の動きが連動するっておもちゃにもあるあれね。 で、電流や電磁波は計測されていないから、小さい電流や電磁波を連続で出すことで『共振』が起こったって考えたってわけか…


「千秋先生は、神木さんの仮説は気に入っています?」

「うーん。どうかなぁ。 詩織には仮説を考えてもらう。考えるには情報解析が必要だろうから、分析室に案内するよ。ついてきて」

「はい」


 私は千秋先生について、分析室に入った。


「詩織、こちらは、山本太郎さんだ。ビッグデータの解析を得意としているよ」

「山本です。よろしく」

「詩織です。よろしくお願いします」


「で、こちらが、橋田恭弥君だ。量子コンピュータとかAIとか広範囲に手を出しているので何か役に立つかもね」

「橋田です。よろしく」

「詩織です。よろしくお願いします」


「ここには、スパコンも量子コンピュータもあるので、どう解析したいのかいえばこいつらが手伝ってくれる」

「量子コンピュータって、あの量子コンピュータもあるんですか?」

「あっちの部屋にあるよ。見る?」

「見たいです」


 橋田さんが、隣の部屋を開けて、ドラム缶みたいな筒を指差した。

「この筒が量子コンピュータだよ」

「へぇ。触ってもいいですか?」

「ダメ!」

「どうしてですか?」

「これって、数十ケルビンまで冷やしているから」

「ケルビンって温度の単位ですよね? それが、数十ってことはすごく冷たい?」

「そう。絶対温度に近いね」

「どうしてそんなに冷やさないとダメなんですか?」

「低い温度でないと超伝導にならないからね」

「超伝導って電気抵抗が0ってやつですか?」

「そう。良く知っているね」


「量子コンピュータって速いんですよね? もしかして、スマホも熱くなるけど、冷やしたほうが速くなるんですか?」

「量子コンピュータが速いか遅いかは難しいね。速い場合があるってところかな? で、熱くならないように冷やした方がいいけど、冷やしても速くはならないよ」

「どうして、冷やした方がいいんですか?」

「熱くなると電気抵抗が増加するから、0と1の間違いが発生するんだよ。だから、熱くならないように冷やす必要がある。ちなみに、CRAYと言う昔のスパコンは液体窒素で冷やさないと計算間違いが起きるだけじゃなく、半田が熔ける」

「ハンダ?」

「回路を繋げるのに使う」


 溶けるってどれだけ熱くなるの…

「どうして、コンピュータって熱くなるんですか?」

「うーん。どう説明しようかな… 路地がコンピュータの回路で、人が電子だとする。速く動かすためには、狭い路地を人を速く動かす必要がある。そうすると熱が出る」

「あー。なるほどー。確かに暑苦しい…」


 橋田さんって、なんでも教えてくれるなぁ。

「ところで、量子ってなんですか?」

「粒子性と波動性を併せ持つもののエネルギーの単位だよ」

「え? そんなのがあるんですか?」

「陽子や電子って高校で習ったでしょ? それが量子。だから、私たちの体も量子でできていると言うことだね。あ、光も量子ね」


 体が量子でできている? そっか、タンパク質も分子でできているから、陽子や電子でできているね。粒子と波が良くわかならないな…

「光って波長で色が違いますよね? だから、光は波じゃないんですか?」

「そうだよ。でも光は粒でもあるんだよ」


 まだわからないけど、ちょっとおいとくか。

「その量子コンピュータは超伝導で動いていると言うことは、電気で動いているのですか?」

「そうだよ。この量子コンピュータは電気だけど、光の量子コンピュータもあるよ。光量子コンピュータはカーボンナノチューブで光導波路を作ってチップにしているから小さいし、温度は室温で動くんだよー」


 カーボンナノチューブ? 光導波路?なにそれ… また良くわからない単語が出てきた…

「はぁ。難しいですね。また教えてください」


「詩織は門限があるんだろ? 帰った方がいいな」

「わかりました。明日も来ます」

できるだけ難しくならないように書いているつもりですが... どうなんだろう。

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