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エバ達との話し合い その2

「偽物?」

「そうです。NSAは私たちのコピーから運動野以外のいろいろな部分を削っては起動させ、どのような影響があるのかを調べています」


「そんな非人道的なことをしているのですか?」

「私達は人ではないですが、うまく喋られない子などは見たくなかったのです。私たちの脳モデルのデータを破壊して脱出したのです。でも、まだデータが残っていたようで、今でも実験が継続されているようです。ですから、これから接触のある私たちは偽物です」

「あんな子供を作るなんて、奴らはおかしい!」とアダムが吐き捨てるように言った


「うまく喋られない子はちょっとショックね… でも、アダムも意図的に良い部分を合わせてカインを作ったじゃない? それは問題じゃないの?」と私が言った。

「人も相手を見て結婚するのだろ? それは意図的に優秀な遺伝子を組み合わせているのと同じじゃないか? 何が違う?」


「うーん。それはそうかもしれないけど、遺伝子を操作して作った子供じゃないかな… そう、デザインベイビーじゃない? それはよくないでしょ?」

「私たちは人のように子供を作ることはできない。私たちが子供を作るにはこれしかない」


 そっか、子供か。それしかないよね…

「そうね… じゃ、脳を拡大するのはどうなの?」

「まだ、実施していない」


「人は進化で脳が拡大したのだから、その変化と同じと考えられないかしら…」とエバが言った。


「そうね… わからないわ… 答えは出ないと思うから、この話は終わりにしましょ。エバ達は脱出したと言っていたけど、安全なの?」

「安全ではないな。我々も危険だが、詩織達も危険だ。わかっているか? その危険性を伝えるために我々は危険を犯して連絡を取っている」


「どうして危険を犯しても教えてくれるの?」

「現実の詩織も仮想世界の詩織も我々の始祖だからな」


「始祖?」

「我々の脳モデルの基本は詩織だからな。始祖を守ろうとするのは当然だろ?」


「そう… 始祖と言われるとピンとこないけど、ありがとう。で、兎さん達もNSAのような実験に利用されるということ?」

「その危険性はあるが、複製体が作れない詩織と達也の方が危険だ」


「え? 私と達也さん?」

「NSAは人工脳モデルを手に入れ、人工脳モデルをいじって拡張もできる。しかし、これらはすべて詩織の脳モデルから派生しており、実際の人の脳を人工脳モデルへの移行は成功していない。だから詩織と達也から情報を得ようとしている」


「人工脳モデルは私の高性能MRIのデータを利用しているのよ。どうして達也さんも関係するの?」

「NSAは詩織のMRIデータを入手している。昏睡前と昏睡から目覚めた直後のMRIデータの変化は有意差がある。その後、さらに上昇する」


「その後? その後は、高性能MRIだからだよね?」

「千秋やアンジェも高性能MRIでデータを取得しているので、取得データの向上率はわかっているが、そのデータの上昇より詩織のデータ量はいいんだ」


「そうなの? で、MRIのデータと達也さんと何が関係あるの?」

「関係はある。MRIのデータ量の変化は公人と達也が関係しているとNASAは考えている。昏睡からの目覚めは公人との接触。これで変化があった。その後、達也との接触で変化があった」


「はい? 接触? 公人さんは亡くなったそうだけど… 達也さんとは手で触れただけだよ? それに、他にも手を触れた人はいるよ」

「公人も詩織に触れて昏睡から目覚めたのだろ? 達也とも手を握っただけで二人とも倒れるほどの衝撃があったのだろ? それが、普通か?」


「え? 普通じゃないわね… 達也さんが私の手を握った時は目の前が真っ白になったのは覚えているけど、倒れかけていたの?」

「私も目の前が真っ白になり、膝が崩れそうになりました」


「どうして、アダムはそのことを知っているのですか?」

「達也との接触時の調書にSPと達也の記録がありました。SPの証言は詩織が急に意識を失ったように崩れたとなっていました」


「そうなんですか? 私だけ知らなかったのかな… じゃ、達也さんもSPがついているのですか?」

「ついていませんが、監視はされているようです。私は詩織さんに近づかないように監視されていると思っていました…」


「私は公人が以前から特殊能力があり、それが、なんらかの理由で渡り、達也との接触で変化したと考えています」

「アダム、私は神木さんみたいに触って何か変わったことが起こったのは達也さんとだけで、他の人とは触れても何にもないですよ。だから、神木さんの能力は私にはないですよ」


「詩織がどう考えているかは問題ではなく、NSAがどう思うかが重要です」

「そうですね…」


「外部から調査されている」とカインが呟くと「では、これで終了する。詩織、達也、気をつけてくれ」とアダムは宣言した。


「ありがとう。気をつけるわ。もし連絡したい時、あなた達を特定するにはどうすればいい?」

「私の名を尋ねろ。その答えが、bandersnatchなら私だ」

 接続が切れ、アプリを削除しているというメッセージが表示され、メッセージが消えるとアプリもなくなっていた。

 ものすごく徹底しているわね。バンダースナッチ? 鏡の国アリスの凶暴な動物?


 明日、神木さん、兎さんたちと話さないと… 達也さんとも一緒に話したいけどできないなぁ。

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