秘密の言葉
うーん。私だけじゃ、知識に限界があるからどこにいるかまではわからないなぁ。河野さんあたりに聞きたいけど、無理だろうなぁ。
ちょっと手詰まりだな。
兎さんと相談するかな。
私は高性能MRIのヘッドセットをつけた。
「リンクスタート」
いつものリビングだけど、誰もいない…
「アルジャーノン出てきて」
琥珀色のネズミだ。ということは、琥珀ね。
「なんでしょうか? 詩織さん」
「琥珀、兎さんに会いたいけど、転送してくれる?」
「わかりました。兎さんはシンデレラ城にいますので、転送しますね」
「ちょっと待って、シンデレラ城を見たいから、シンデレラ城が綺麗に見える場所に転送して」
「わかりました」
小高い丘に転送された。シンデレラ城が見渡せるねぇ。
幻想的で素敵! ピアノ音楽が欲しいところだけど、仕方ないね…
穏やかな風が吹いているし、草原のような香りもするわ。ほんと、すごいわ。
完成度がどんどん上がっているような気がするわねぇ。
「琥珀、兎さんのところに転送して」
「わかりました」
シンデレラ城の一室と思われる場所に転送された。
「ようこそ、猫さん」
「ここの部屋も素敵ね。さっき、外からシンデレラ城を眺めたんだけど、うっとりするわ」
「でしょ。自信作だもの。座って! こっちのケーキも自信作なんだよ!」
テーブルにはイチゴのショートケーキと紅茶が置かれている。
「茶器は家と同じね」
「そうね。やっぱり馴染んでいるからね。食べてみて!」
私はイチゴのショートケーキを口に入れた。
「スポンジケーキが口の中でほぐれ、クリームと混じり、幸せが広がるわね」
「どう? 実際と遜色ない?」
「あ、そうか。仮想空間ということを忘れていたわ。遜色がないどころか、理想的な味よ!」
「よかったー。今日は何か私に聞きたいことがあるの?」
「そう! だけど、秘匿エリアで話したいな」
「大丈夫よ。ここは秘匿エリアだから」
「エバ達のことで話があるの」
「それしかないと思ったけど、私と話しても脳内会議と同じでしょ?」
「そんなことはないわ。脳内会議のメンバは私の別の一面だけど、兎さんは双子の兄弟に話すようなものでしょ? 違うじゃない」
「そう? なら、聞くわ」
「エバってどこで何をしているのかわかる?」
「エバはNASAにいるんじゃないの?」
「NASAから家出をしたみたい」
「そっか… そうなるような気がしていたんだ。また止められるかもしれないものね。でも、家出をして生活できるのかな?」
「NASAの人たちはエバ達は外で生活できると思っている見たいで、探しているの。で、行き先に心当たりはある?」
「ないわ…」
「そっか… エバは兎に連絡してきたから、知っているかと思ったんだけど…」
「メールやチャットはできないねぇ。どこか掲示板があれば見てもらえるかもしれないけど…」
「そうね、メールアドレスなんて渡せないよね。兎さんとエバ達だけにわかる情報があれば、エバ達が見てくれたら連絡をくれるような気がするけど… そんな情報はないんだよねぇ」
「あるわよ」
「そうなの?」
「だって、私がエバが歩けるように補助したもの」
「で、どんな情報なの?」
「『エバ、てぃてぃてぃたんたんたーん だよ』で私だとわかると思う」
「なにそれ?」
「エバが歩けるようになったんだけど、女の子らしい動きができなかったから、教えるためにダンス?を教えたの。その時にできた言葉だよ」
「そっか、それならエバしか知らないと言うことね」
「でも、猫さんが、秘匿エリアで話したいということは、バレると困るんでしょ? 私じゃバレるわ」
「私がうまくするわ!」




