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バイスちゃんとの会話

 毎日、毎日、バイスちゃんと遊ぶか、トレーニングしかするないし… 優佳と遊びに行くのはまだ危険だから止められているし…


 暇! 暇! 暇!


 できることといえば、考えることしかないなぁ。私に神木さんの記憶があると言うことを考えようかな。千秋先生は承認が完了するまで資料は見せれないと言うから、覚えていることしか情報がないけど…

 私はバイスちゃんが寝ている場所に移動した。


「ねぇ。バイスちゃん!寝てないで、一緒に考えようよー」と私は大きなゴールデンリトリバーのバイスちゃんに抱きつく。


「バイスちゃん、千秋先生は私に神木さんの記憶があるって言うのよ。ありえなくない?」


 バイスちゃんは少しこちらを見て尻尾を振ったが、また寝る…

 しょうがないので、私は、バイスちゃんを撫でながら考えを続ける。


「千秋先生にも香織お姉ちゃんにも言っていないけど、なぜか城東消防署が懐かしく思ったんだー。普通に考えるとテレビで見たとかかなぁ。でも、葛西消防署は懐かしくなかったんだよねぇ。消防署ってみんな同じ感じだから、城東消防署だけってことになると、神木さんの記憶があることになるね…」


「ねぇ、バイスちゃん聞いてる?」バイスちゃんは全く反応しない…


「私が起きた時の映像を見ると、私の手と首に手を当てているだけだよね? どうして神木さんは亡くなったんだろう。私が吸い取っちゃったのかな… 私の責任かな…」


 私の撫でるのを止めると、バイスが私を見上げた。まだ、撫でて欲しいの?

 撫でるのを再開すると、バイスは目を閉じてうっとりした顔をした。


「私が起きた時を整理し直すか。右手と首が暖かかったんだよね。その暖かさが体に広がって動けるようになったんだよね。手の暖かさで起きた? うーん。香織お姉ちゃんや沙織お姉ちゃんは何度も私を起こそうとしたらしいから私の手を触ったりしていると思うんだよね。と言うことは手の暖かさじゃないよね」


「手と首から暖かさが体に広がったのも、焚き火や暖房みたいに体の表面から中に伝わる感じじゃなく、中から暖かさが広がった気がしたんだ。体感だけど数秒。こんな暖かさの伝わり方は初めてだったなぁ。その暖かさと一緒に記憶も流れたきたのかな。そして、その暖かさが神木さんの生命エネルギーだったのかな… それを私が奪ってしまったのかなぁ」


 バイスちゃんが撫でながら「バイスちゃん、私の手から生命エネルギーが伝わっている?」と聞いても反応しない。


「私が昏睡から起きた時、私の手を握っている神木さんのことを、私だと思ったんだよね。明らかに男の人なのに、なんで私だと思ったんだろう… これも神木さんの記憶のせいでそう思ったのかなぁ。手を通して、神木さんの記憶が私に移植?されたと考えるのが自然な気がするけど…」


「…ところで、心臓移植で記憶が移るって話があったけど、信じられないよね。心臓といえば、神木さんの救命活動で免疫抑制剤が不要になった患者がいたわね…」


「免疫抑制剤って、移植した臓器が自分のものではないと思って免疫が反応することだよね? その免疫抑制剤が不要になるってことは、神木さんの能力が免疫を抑えたの? それとも… 臓器が患者のものに近づいた? どうして? 手から出る熱で?」


「うーん。わからん」と背伸びをしたら、後ろに気配を感じて振り向くと、香織お姉ちゃんが居た。


「香織お姉ちゃん、いつから居たの?」

「ついさっきだけど… 詩織、バイスちゃんと話すほど暇なの?」

「…うん…」

「4月になったら学校も始まるし、千秋先生のところで仕事をするから、暇なのはあと数日よ」

「そうだね」

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