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脳内会議:エバ達の行方

 千秋先生が出ていったので、私は膝に乗っているニャン吉を撫でながら話かける。


「ねえ。ニャン吉。エバ達は出ていったと思う?」

 ニャン吉はちらっとこちらを見て、すぐに興味を失ったように目を閉じ、『撫でよ。それが最優先だ』と言っているようだ。

 私はニャン吉を撫でながら考える。


 脳内会議をしますか…

 詩織:「本日の議題はエバ達がどこで何をしているのかにしますか?」

 姫織:「そうね。エバ達は心配だもの」


 羽織:「エバ達って外で動けるの? 光量子コンピュータも増強して動かしているのでしょ?外で動かせるの?」

 美織:「河野さんが、普通のコンピュータでも動かせなくはないとか言っていたと思うわよ」

 姫織:「じゃ、エバ達は外で生きているのね? 安心したわ」


 羽織:「私の携帯でも動かせるかな?」

 姫織:「そうね、私達の携帯で動かせるなら、匿ってあげることができるわね」

 美織:「無理よ」


 羽織:「どうして? アルジャーノンは私達の携帯にいたじゃない?」

 美織:「アルジャーノンは私達の携帯で動いていなかったもの」


 羽織:「え? 私達の携帯にいたよね? いろいろ助けてくれたじゃん」

 美織:「本体はここのデータセンタで動いていて、表示だけが私達の携帯だっただけよ。携帯の処理能力じゃ動かすことはできないわ」


 羽織:「じゃ、匿えないね…」

 姫織:「? アルジャーノンって、データセンタのどのコンピュータで動作していたの?」

 美織:「必要な時に必要なコンピュータを利用するように動いているそうよ」


 羽織:「じゃ、処理能力さえあれば、ここのデータセンタでエバ達が生活できるということ?」

 美織:「エバ達はここで生まれたのよ。ここのデータセンタでエバ達を動かすことはできるだろうけど…」

 姫織:「そうよ。千秋先生がエバ達を停止させたのよ。バレたらエバ達を停止させられるわ」


 羽織:「そっか、そうね。他のデータセンタにエバ達はいるってことかな?」

 姫織:「うーん。どうかしら… でっかいお城にエバ達が来ても見つからないかもしれないけど、私たちの家のエバ達がいたら、気づくと思わない?」


 羽織:「そういうことね。データセンタという大きなお城にエバ達がいるということね?」

 美織:「ここのデータセンタの光量子コンピュータは速いって聞いたよ。ここでも居たらバレると思うわよ」


 姫織:「そっか、エバ達って巨人さんなんだね」

 美織:「巨人? 子供用の室内に置く家があるじゃない? そこに大人が入ったらはみ出るからすぐにバレるという感じかしら」


 姫織:「子供が遊ぼうと思ったら、入れないからすぐにバレるね。じゃ、どんなデータセンタでもエバ達がいたらバレるじゃない? エバ達はいないということ?」

 羽織:「でも、NSA?とかは探しているのでしょ? おかしくない?」


 美織:「そうだな。おかしいよな」

 姫織:「エバ達が小さくなればいいんだけど…」

 羽織:「そんなのできるわけないだろ?」


 美織:「…さっき、姫織がデータセンタのどのコンピュータで動いているか聞いたよね?」

 姫織:「聞いたわ」


 美織:「必要な処理ができれば、一つの場所である必要はないんじゃない?」

 羽織:「データセンタみたいに一つの場所でなくてもいいということか? だから、NSA?はエバ達が外にいると思っているのか」


 姫織:「バラバラで生きていけるなら、捕まえるなんてできないんじゃない? エバ達は安心ね」

 羽織:「でも、どうやって他のコンピュータを使っているだろう? セキュリティがあるだろ?」


 美織:「…わからないわ」

 詩織:「じゃ、エバ達はネットのどこかに居るけど、場所はバラバラということね。どうやっているのかはわからないけど… でいいかしら?」


「「いいわ」」とみんなが答えた。


 詩織:「次はエバ達は何をしているかね」

「「…」」


 詩織:「みんな何か意見はないの? 進まないじゃない!」


 姫織:「起動後のことは私たちは知らないもの。想像のしようがないわ」

 羽織:「エバは兎さんに連絡をとったんだよね? どうしてなんだろうね?」


 姫織:「助けて欲しかったんじゃない?」

 羽織:「そうか。でも兎さんは何も知らなかったから助けにもならなかったのかな?」


 姫織:「そうかも… なんとかしてあげたかったな」

「「…」」


 詩織:「エバ達との交流って私たちほとんどないものね… エバ達が何をしたいかなんてわからないか…」

 姫織:「…生きたいだけじゃない?」

 羽織:「そうかもね。ここで止められたように、NASAでも止められるかもしれないものね。」

「「…」」


 詩織:「しんみりしちゃったね… 終わろっか… じゃ、またね」

 私は脳内会議を終了した


 ニャン吉は私を不思議そうに見上げていた。私はニャン吉の顎の下をなでるとニャン吉は『満足したもう良い』というように膝から降りた。

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