アンジェの行方
生命科学室で、ニャン吉と戯れていると千秋先生が近づいてきた。
「詩織、アンジェについてだが…」
「軟禁されているんでしょ?」
「!? 知っていたのか?」
「うん。昨日、お父さんに聞いたアンジェが軟禁されているって聞いたわ」
「そうか。ということは… 沙織も香織も詩織に関わらせないために最低限の情報を流したんだな」
「どういうことですか?」
「全く情報がなかったら、詩織は調べるだろ?」
「もちろん!」
「軟禁されているとなれば、ヤバそうだとは思うだろうから首を突っ込む確率が減るということだ」
「…なんか、私の性格を読まれているなぁ。軟禁されていることをお父さんが知っているということはかなり大掛かりの組織だと思うもの。首を突っ込むと危険なことはわかるわ。千秋先生はどこに軟禁されているのか知っているの?」
「知っている」
「じゃ、アンジェは海軍に軟禁されているのね」
「まぁ。そうだ」
「で、軟禁されている理由は知っているの?」
「それが、よくわからない部分が多いな。エバ達のデータを取り出して、極低温の量子コンピュータで動かしたことまではわかっているが… 無断持ち出しだから、降格や解雇はあるだろうが軟禁というのがわからない」
「そうなんだ… お父さんにもう少し聞こうかと思ったけど、これ以上は聞くなという感じがしたから聞けなかったんだよね」
「叔父さんはなかなか凄みがあるかなぁ」
「そう?」
「あ、そうか、叔父さんは詩織に甘いからな」
みんなそう言うなぁ。どうしてなんだろう?
「千秋先生、エバ達ってどうなっているか知っていますか?」
「止めたらしいが… NASAや他の組織もネット探索を強化しているのが、気になる」
「他の組織?」
「NSCと思われる組織や企業だな」
「NSC?」
「National Security Council。国家安全保障会議だ」
「そんな組織があるの? なんか名前がすごいけど、どういう組織?」
「あぁ。すごいぞ。大統領への最高諮問機関だから、かなり権威があるぞ」
「大統領!? アメリカだよね?」
「そうだな」
「なんで!? 何を探しているの?」
「…」
「千秋先生、何か知っているのでしょ?」
「…知っているわけじゃない。疑いがあるだけだ」
「じゃ、何を疑っているの?」
「エバ達を探しているようだ」
「エバ達が動いていた量子コンピュータを止めたのでしょ?」
「あぁ。極低温の量子コンピュータは停止したが、NASAの知り合いに聞いたところ、エバ達が出ていったらしい」
「はぁ? 出ていった? 誰かが流出させたんじゃなくて?」
「私も信じられないが、NASAではそうなっているらしいな。最初は誰かが流出させたと考えられていたいたから、アンジェが監禁されたようだ。でも、調べると違うとなったようだ。それで監禁から軟禁に変わっているようだ」
「それで、出ていったエバ達を大統領への諮問機関?が探しているというの?」
「そうらしい」
「うーん。仮に、エバ達が自分の意思で出ていったということを信じると、データを回収したいということかしら? それとも、エバ達を捕まえたいということかしら?」
「さぁな。まだわからん。詩織、この話は他ではするな。話をするのは私だけにしろ」
「どうして? 河野さんにもダメなの? 河野さんは調べていたんだよね?」
「河野には忘れろと言ってある」
「河野さんには忘れろというのに、私には言わないの?」
「詩織に忘れろというと、逆効果だろ?」
「はい…」
なんか、私の性格を見透かされている…




