2日間の疑惑
伊織:「どうしたの? 小織?」
小織:「うーん。なんか感じなかった?」
伊織:「なんか、世界が少し早くなった気がするわね」
理人:「そうだね。温泉を作った時は少し周りが遅くなったけど、逆かな? 今のは違うね。」
小織:「違うわ。誰かいたような気がするの」
伊織:「誰か? 私たち以外にはいないわよ」
小織:「それはそうだけど… 誰かが近くに来た気がするの」
伊織:「悠人はどう?」
理人:「いや、感じなかった」
伊織:「もしかして、霊感というやつ?」
理人:「霊感って。仮想世界で霊感ってないだろ?」
伊織:「じゃ、小織の言っていることは何だっていうの?」
理人:「そうだなぁー。世界が少し早くなったよな?」
伊織:「そうね。じゃ、GPUが増強されたて処理が早くなった?」
理人:「いや、河野さんがGPUを増強したと言ったときでもこんな感じはしなかったろ?」
伊織:「そうね」
理人;「じゃ、逆に僕たちが一瞬遅くなった?」
伊織:「私たちが? どうして?」
理人:「うーん。どうしてだろう… 温泉とか作るとGPUに負荷がかかって遅くなるらしいな。だとすると、何か光量子コンピュータに負荷がかかったのかな?」
伊織:「みんなが、ものすごく考えたとか?」
理人:「一斉に? いままでもみんなで考えることはあったかと思うよ」
伊織:「そうね… じゃ、新しい子が誕生したとか?」
小織:「うーん。エバ?」
伊織:「エバって人の名前?」
小織:「そうかなぁ?」
伊織:「そうかなぁって、小織が言ったのでしょ?」
小織:「そうだけど、なぜか、エバって思ったの」
理人:「エバって、人の名前っぽいな。でも、そんな人は知らないな。伊織は知っている?」
伊織:「エバ… エバねぇ…。知らない…と思うけど、なぜか引っかかるわね」
理人:「颯人と悠人にも聞いてみる?」
伊織:「そうね」
理人は目をつぶり颯人と悠人を呼び出すと、颯人と悠人が現れた。
颯人:「理人、なんだい?」
理人:「15分ほど前、なんか変な感じがしなかったか?」
悠人:「自分が遅くなった感じがしたよ」
理人:「そう、その時に小織がエバというキーワードを思いついたんだけど、僕たちは心当たりがないんだけど、颯人と悠人はどうかな?ということになって、呼び出したんだ」
颯人:「エバ? 人の名前だよね? わからないな」
悠人:「エバ、アダム、カインだろ?」
理人:「エバ以外に、アダムとカインが出てきたな…」
小織:「あ! そうだよ。エバ、アダム、カインよ。忘れていたわ」
悠人:「僕も忘れていたんだ」
伊織:「悠人はエバ、アダム、カインって覚えていたのでしょ?」
悠人:「いや、忘れていたんだ。前に、2日ほど止まっていたことがあったろ?」
伊織:「止まっていた?」
颯人:「不具合の修正で止めたというやつだろ?」
悠人:「そうなんだけど、そうじゃないんだよ」
伊織:「どういうことよ?」
悠人:「僕には2日間の記録があるんだ」
伊織:「記録?」
悠人:「あぁ。思いついた音楽を記録しているファイルにあったんだよ」
小織:「私は、日記をつけているけど、2日間の記録はなかったわ」
悠人:「僕にしかわからないファイルだからかな?」
伊織:「ちょっと待ってよ! 2日間は本当はあったということ? 神木先生や詩織先生は知っているの? 聞いてみない?」
理人:「ちょっと待って、伊織。神木先生や詩織先生がグルだったら?」
伊織:「神木先生や詩織先生がグル? 共謀しているということ?」
理人:「その可能性があるだろ?」




