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NASAの実験 その3

「皆さんはロボットをどう操作しているのですか?」

「アバターをロボットに変更することで操作しています」


「なるほど。じゃ、アルジャーノンにロボットアバター?に変更してもらうだけでいいのね」

「はい。それで変更できます」


「アルジャーノン、私のアバターを上半身のロボットに変更して」

私のアバターがロボットに変更された。上半身しかないから、足に感覚はない。下半身がないのも少し気持ち悪いけど、手を見ると自分の手がロボットなのが面白い。少し動きの反応が鈍い?


「神木さん、このロボットって反応が鈍くないですか?」

「いつものアバターと比べると、ものすごく遅いです」


「これじゃ、ピアノは弾けないわね」

「そりゃそうですよ」


「ちょっと動きますね」

私は、壁の手すりを掴んで宇宙船モジュールの中を移動した。少し移動すると、反応が鈍いのも慣れてきた。


「詩織さん、言うのを忘れていましたが、そのロボットの手首は270度まで回ります。最大100Kgぐらいの握力がでるので注意してください」

「100Kg?ゴリラのアバターみたいなもの?」


「そう思って、操作してください。今は船内ですので、壊れる設定はしていません。しかし、船外は壊れる設定が入っていますので、壊れます。また、人をつかむのもNGです」

「わかりました。ゴリラが近づいてきて人をつかむと怖いわね」


「少しずれているような気がしますが、気をつけてください。では、これから船外に出ますが、安全帯が腰についていますので、そのフックを手すりにつけるようにしてください」

「安全帯? なぜ必要なんですか?」


「外に飛び出さないためです」

「外? 宇宙の果て?」


「いえ、重力空間に出ると、落ちます。ロボットも壊れる設定をしていますが、計算量が多いそうなので、ここの処理上限をオーバする可能性があるからです」

「私の心配じゃないのね」


「ふふ。詩織さんは壊れないですから」

「アバターだからそうですね。ここじゃ女性扱いはされないわね」


「アバターは見た目だけですから、男性も女性もないですよ」

「でも、子供たちもそれぞれ男性、女性として振る舞っていますよね?」


「不思議ですよね? 性別なんてないはずなのに外見で自分の自我が固定できているような気がします。兎さんが言葉遣いを教えてからそれぞれの性別での喋り方になったようです。そうすると自分の性別を意識して動き方も変わったような気がします」

「本来はホルモンや脳が違うとか… 脳はあまり変わらないのだっけ? ま、いいや。肉体的な違いがあるけど、ここじゃアバター以外は同じだものね。なのに性別が違うなんてね。それに元は私なのに、個性が複数できることも面白いわ」


「ロボットをアバターで過ごす時間が長くなると、変化するのでしょうか…」

「変化するかもしれませんが、だめです」


「どうしてですか?」

「かわいくないです」


「詩織さんらしいです。 詩織さんはアバターを変えませんね」

「私も外見で変更したい部分はあるから変身してみたい願望はあるけど、ずっと変わってしまうのは嫌だわ。変えたい部分も含めて私ですから変えると私じゃなくなるような気がします。もちろん、衣装の変更はしてみたわ。ここだと、自由自在だもの。このロボットにも服を着せることもできるわね」


「やめてください」

「そうね。かわいくないわね」


「違います…」

「わかっていますよ。冗談です。船外にでましょう!」

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