アンジェとの子作り作業
「アンジェ、2.4GHz帯は脳波に影響が出るぞ。それでは正確な値は取れないぞ」
「いや、1.9GHz帯を使うし、80mWにするからPHSのアンテナを使う」
「あのう。千秋先生、アンジェに日本人なら知っているPHSと言われたのですが、何ですか?」
「PHSは個人利用は終了しているから、明人君は知らないだろうな、たしかPersonal Handy-phone Systemの略だ。電波の出力が小さいから病院で使われている」
「もしかして、看護師が折りたたみじゃない変な電話を使っていると思ったのですけど、あれですか?」
「そうだ。固定電話の親機と子機との通信も同じ方式だ」
「おやき? こき? なぜ、千秋先生は詳しいのですか?」
「私の家はPHSを使っている?」
「家で? あぁ。執事達の伝達はPHSを利用している。から気になって調べた。詩織のところもそうだ」
「え? あの無線機がそうなんですか!? 知らなかった。私が気づいたときからありますよ。それで通信できるのですか?」
「もちろんできるPersonal Handy System Internet Access Forum略してPIAFという規格があるからな。今のPCとの接続は面倒だぞ。USBコネクタなんて今時あるのか? 明人君、橋田を呼べ」
「わかりました」
「アンジェ、PHSでデータ転送はわかるが、有線データを飛ばすのか?」
「そのつもりだ」
橋田さんが、「いつも急ですね」と入ってきた。
「橋田、高性能MRIのヘッドセットのデータをPHSで転送できるように改造する。USBとPHSを接続する機器を手に入れろ」
「は? PHSってピッチですか? そんなの博物館にしかないでしょ?」
「◯立や◯KIに聞け」
「橋田さん。3時間以内で調達してください」
「3時間以内? アンジェさん、無理ですよ」
「急いで!」
「はい…」橋田さんは部屋を出て行った。
「明人君は高性能MRIのデータをUSBに変換とUSBからMRIデータを取り出すコードを作ってくれ。LinuxのPIAFのドライバはネットに転がっているだろ?それを使え」
「河野さん、高性能MIRのデータをUSBに変換する部分は私が持ち歩くので物理的に小さくしたいので、Raspberry PiみたいなボードコンピュータかスティックPCを利用してください」
「スティックPC? 今時手に入らないです。Raspberry Piにします」というと河野さんも作業に入った。
ドライバってネジをしめるやつ? スティックPCってPCというからパソコン? で、ラズベリーパイってお菓子? 何の話? 私は謎だらけの会話に頭が混乱した。
「詩織、私との子供は明後日には誕生する! 名前は何にする?」
いきなり声をかけられて何の話か分からなかった…
「はい? 名前?」
「そうだ、私たちの子供だろ?」
「やめてくださいよ。私たちの子供じゃないです!」
「詩織は認知しないのか?」
「アンジェのMRIのデータでできるんじゃから、アンジェの子供でしょ? アンジェが名前を決めればいいですよ」
「そうか… じゃ、Eva Ryan Brownにしよう」
「エバ?」
「そうだ、ヘブライ語で『命』とか『いきるもの』という意味だ」
河野さんの独り言が聞こえてきた。
「何だよ、ATコマンドって、わかんねぇよ」
がんばれ!河野さん。今度、差し入れを持ってくるね。
私がいても邪魔になるだけなので、生命科学室でニャン吉と遊んでいると、香織お姉ちゃんが入ってきた。
「詩織いた! 詩織! アンジェとの子供って何よ!」
はぁ。香織お姉ちゃんの耳に届いちゃったのね…
「私の高性能MRIのデータを入れている人工脳モデルにアンジェの高性能MRIのデータを上書きして、新たな子供?を作るの」
「…そういうことなのね」
「そうよ。アンジェは女よ」
「うーん。いや、アンジェだものわからないわ」
「そんなわけないでしょ!」
香織お姉ちゃんでこれだもの。お父さんには絶対内緒にしなきゃ。
2024/11/8にNTTから光量子コンピュータの発表がありました。
今後の発展を期待しております。




