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閑話 詩織先生の謎 その2

 伊織と小織は理人が考え込んでいる場所に向かった。


「ねぇ、理人。手を使わずに何でも操作できるようになったから、教えてくれなくていいわ」

「…何でも?」


「えぇ。何でも」

「見せてくれないか?」


「いいわよ」

 伊織は、手を使っていないことを示すためか腰に手を当てて立ち、画面を見えるようにしてブラウザを起動して、人工脳モデルを検索した。


「ショートカットとキーボード操作じゃない? フォーカス変更がキー操作じゃないよな?」

「ショートっカット? フォーカス?」


「違う方法なのか… 詩織先生の方法とも違うような気がするけど、どうやった?」

「教えてほしい?」


「教えてほしい」

「しょうがないわねぇ。小織が教えてあげるわ」


「どうして小織?」

「小織が見つけたから」


「そうなのか?」

「小織、教えて」


 小織は、理人に琥珀を使った方法を教えた。

「なるほど。起動登録?と視線操作か。視線でマウスポインタの代わりができるのか。奥が深いなぁ。でも、これは『イメージ』とは違うような気がする。たぶん。詩織先生は端末の操作に詳しくないから、小織の方法は知らないんじゃないかな?」

「詩織先生は別の方法を使っているということ? 起動登録の方法でいろいろな処理を覚えさせているじゃない?」


「詩織先生がいろいろなことを覚えさせている? ないな」

「うん。理人の言うとおりだと思う。詩織先生は細かいことなんかは覚えていないよ」


「小織、だけど、詩織先生ってさぁ、家具を作る時やケーキの味とかすごく細かく変更するじゃない?」

「確かにこだわりがあるものは超細かいけど、それ以外は大雑把じゃない?」


「そうね」

「詩織先生が聞いたら怒るぞ… ま、そんな詩織先生が細かい操作をすべて起動登録のように覚えさせているなんて想像がつくか?」


「つかないわね。じゃ、詩織先生が言う『イメージ』は何だろうね」

「詩織先生がモノを作る時、『もうちょっとカドは丸いほうがいい』とか言っていたような気がするんだけど、どうだ?」


「言っているような気がするかな? 小織は詩織先生といることが多いからわかる?」

「『もう少し明るい茶色かな?』とか『ここは少し汚れがある方がリアリティがある』とかブツブツ言うわ」


「そのときに琥珀はいた?」

「わからないわ」


「そうか…」

「で、理人はどうして詩織先生に直接聞かないの?」


「聞いてもわからなかったんだよ!」

「確かに、詩織先生のピアノのレッスンはよくわからないときが多いわね」


「そうそう、『ピンクのうさぎが楽しく踊っているように』って言われた時は『うさぎ』って何?ピアノで楽しく踊る?ってと思ったよ」

「え? そう? なんとなくわかるよ」と小織が言った。


「そっか、小織と悠人も『森の優しい風みたい』とか言っていたよな」

「そうよ。小織も悠人も直感の人だね」


「なんかバカにされているような気がする…」

「そんなことないよ。『楽しく踊っているように』は軽やかに聞こえていないということだから、鍵盤を跳ねるように弾くんだろ?」

「そうね。そんな感じかな」


「僕には、鍵盤を跳ねるように指を動かせと指示された方がわかりやすいんだよ」

「それだと、気持ちが浮かれている感じが伝わらないじゃない? そのために『ピンクのうさぎ』が必要なんだと思うわ」


「小織も理人も、もういいわ。小織の方法を詩織先生に説明してみない?」

「…そうだな。違うとは思うけど確かめよう。けど、詩織先生はどこだろう?」

「音楽室にいなかったから、ファンタジーエリアだと思うわ」


「よし、行こう! アルジャーノン、僕たちをファンタージエリアに転送して」


 理人、伊織、小織がファンタジーエリアに移動した。


「詩織先生はどこだろう?」と理人が周りを見渡した。

 小織が、シンデレラ城の上の方を見て、指をさして「あれじゃない?」と言った。


 理人と伊織がシンデレラ城の上を見た。

「伊織、小織、僕には詩織先生が飛んでいるように見えるけど、どう思う」

「飛んでいるわね。非常識よね」


「いいなぁ飛んでみたい。伊織はそう思わないの?」

「思うわよ!」

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