群知能
「千秋先生、さっきの会議で出てきた群知能ってなんですか?」
「群知能か? 群はムレだ。蟻とか蜂は集団で動作するだろ?」
「はい」
「巣を拡張するもの、幼虫の世話をするもの、食料を集めるものがそれぞれの処理をしながら全体として機能している。それぞれは単純な処理をしているが全体として知能があるように見えるから群知能と言われている」
蜂が働いてミツを集めているのを人間が収穫するようなもの?
それぞれの機械が動いて開発をして、出来上がった鉄や銅などの資源を収穫するのか…
「なるほどぉ。惑星開発で勝手に動いて開発してくれるということですか?」
「勝手に動かれては困るから、開発の最終を示せば後は細かく指示はしなくていいというのが理想だな」
「群知能ってうまく動作するのですか? 中央で指示した方が確実では?」
「詩織さんの懸念は私も思っていました。ここのドローンのルールが適切でなければ開発が失敗するのでは?」
「詩織や明人君の疑問は当然だな。おそらく個々のドローンのルールを調整できるようになっているのだろう。エミリー達に聞かないと詳細はわからないな」
集中か分散かってこと? 分散といえばいいけどまとまりがないじゃない?
「詩織、納得できないか?」
「そうじゃないですけど、うまく分散できるのかな?と思って…」
「そうだな。ルールの設定と調整が大事だな」
「人は脳で処理しているじゃないですか。それの方が効率的では?」
「人はかなり分散処理されているぞ」
「え? そうなのですか?」
「食物の消化や心臓などは脳が指示しなくても動作できるだろ?」
「それは、小脳や脳幹が指示しているのでは?」
「そうだな。それぞれの細胞の動作までは小脳や脳幹は指示していない。細胞の破損の対応やウィルスの退治などはそれぞれが処理している。階層での分散と言えるかな。会社で考えると社長、所長、部長、課長、平のように階層で指示して運用しているようなものかな」
「そそれって階層で分散と違いますよね?」
「あぁ。階層だ。階層分散の方がわかりやすいかと思ったから階層分散の話をした。エミリー達がどのような想定かはわからないな」
「そうですね。聞かないとわからないですね」
「詩織はエミリー達との共同研究が進むと考えているかもしれないが、わからないぞ」
「NASAからの要請が来るのでしょ?」
「要請か強要か圧力かはわからないがあるだろうな。しかし、拒否できなくはない」
「拒否なんてできるのですか?」
「NASAは人工脳モデルが欲しいが、その技術はこちらにしかないからな。問題は一ノ瀬グループだ」
「一ノ瀬グループって弱いのですか?」
「逆だな。強い」
「なら拒否できるのでは?」
「うーん。正確に言うと世界との関連性が強いかな。世界との関連性にはNASAも含まれているし、NASAとの取引も多い。それにJAXAとの取引もある。さらに関連企業とも取引がある。だから拒否が難しくなる。これは一ノ瀬のおじ様の判断かな。おそらく、公開する情報を分別して最低限公開して、相手の情報や利益をできるだけ得るだろうな」
「なんかドロドロした話ですね」
「社会とはそういうものだ」
「千秋先生はそういうドロドロとは関係ないイメージです」
河野さんが、頷いている
「明人君、何を納得している? 取引をせずに生きていけるわけないだろ?」
「千秋先生はやりたいことしかしないじゃないですか」
「そんなことはないぞ」と河野さんの頬を指でグリグリと突いた
うん。河野さんの言うように千秋先生はやりたいことをしかしないね。




