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大宮しずく~1話~




 「2万ね」

 金髪ロング、白い肌、淡麗な顔立ちの女子高生が小太りの中年に確認する。


 「どうぞ。それでは向かいましょうか」

 中年男性は女子高生に封筒を渡し、車に乗って移動を始めた。


 車窓からきらびやかな街並みが映る。




 私は大宮しずく16歳。

 よくいる不良少女かな。


 学校に行っても女子同士の派閥争いや色恋沙汰の揉め事だらけ。


 家に居てもニートの兄貴が原因で喧嘩ばかりの両親。



 なんかこう、静かなところに行きたい。

 本当に欲しいものなんてないけど、スクールカーストで上位をキープする為にブランド物を身につけたり、クラスで人気の男子に気に入られるようメイク道具や美容にもお金はかかる。

 下らないけど社会ってそーゆーものでしょ?

 私はただただストレスのない無い日々を送りたいだけなんだ。


 その目標の為にはお金が必要。

 お小遣いは月に1万だけ。


 16歳の高校生では働ける場所は少なく、バイトは時給低い上に無能な先輩、安月給のクセにエラソーな社員。


 長続きしたことなんてない。

 SNSなんかでインフルエンサーとしてきらびやかな雰囲気を出して稼いでるフリをしている子もいるけど、私なんかには真似できない。


 ただの女子高生が沢山稼げることなんて、この『女子高生』ていうブランドを売るしかないよね。


 クラスの中のボス格で、いつもブランド物で身を固めてるミチルが教えてくれたラクに稼げる方法。


 それが『会員制デートクラブ薔薇園(ばらぞの)


 女子高生や女子大生、地下アイドルなどを集めたデートクラブで、カラダの関係は無し、時間制でご飯付き合ったり、撮影会をするだけ。



 この撮影会ってのはキモい奴らにパンチラや、女の子によっては裸を撮らせてやったり、脱ぎたてのパンツや靴下をその場で物販するんだけど、ここでの稼ぎはまるまる自分の物になるから大きい。



 まぁ私はパンチラやブラチラまでしか許可してないから撮影で脱ぐ子ほどは稼げないけど、それでも固定2万プラス、撮影会でも2万、履いてたフリしてパンツをくれてやる時は1日で10万くらい稼げる時もある。


 週に1回までしか参加できないルールだけど十分に稼げてる。


 「今日はいつものラウンジではなく、当社指定のマンションになります」

 話しかけてきた車を運転してる中年オヤジは『薔薇園』の運転手で岩田っていうの。

 客じゃない。


 これから私は客の下へ送られる。


 『薔薇園』の客は色んな奴がいる。

 ただのキモオタみたいなやつから芸能人、有名なインフルエンサーや政治家もいるみたい。


 今日の客は中でも大当たりの常連客みたいで、テレビにも良く出てる政治家だそうだ。


 今日は10万は稼げそうだな。

 大宮は期待に胸を躍らせていた。



 車に乗ってから30分ほどして都内有数の高級タワーマンションに着いた。


 「今日は変装の必要はありませんので」

 岩田は無機質に段取りを伝える。


 有名人が相手の場合は基本的に『薔薇園』の用意したマンションで客と合流する。


 女子高生とオッサンが一緒に歩いていたら悪目立ちするので外でのデートの場合は変装が必要なことが多い。


 今日の顧客は有名な政治家だけにパパラッチにも一層警戒が必要だそうで、外でのデートはできず、マンションでの食事会と撮影会が行われる。


 「わかりましたー」

 これから巻き込まれる奇怪な事件と、出会う珍妙な仲間達のことなど知る由もなく、大宮が軽く返事をする。




------------


 


 目的地に到着し、車寄せに停車した。

 「では所持品はこちらでお預かり致します。車を降りたらボディチェックしますので宜しくお願いします」

 「了解でーす」

 

 顧客の情報が外部に漏れないよう盗撮や盗聴の恐れのある物を持ち込まないようにするため、スマホなどは岩田に預け、金属探知機検査とポケットチェックがされるんだけど、ちょっと嫌なんだよね・・・。

 「毎回思うんですけど、これセクハラにならないんですか?」

 大宮はからかうような仕草で腕を上げ、岩田に背を向ける。


 「業務遂行上必要な事ですので、差し障りあるようでしたらお帰りいただいても構いません。その際は当日キャンセル料として、事前に交わした契約書通り10万円と、本日の交通費及び、初めに当方がお渡しした2万円を請求・・・」

 「あーはいはい、わかってます。冗談で言っただけです。すみませーん」

 岩田の言葉を遮り大宮は呆れ顔で答える。


 ボディチェックが終わり、岩田に誘導され薔薇園の用意したタワーマンションのコンシェルジュのいるエントランスを抜ける。

 大理石を基調とし、きらびやかな装飾とシャンデリアの灯りが少し眩しい。

 エレベーターに乗り、岩田が33階のボタンを押して顧客の待つ部屋を目指す。



 「このマンション超高そうですね。一部屋借りるのにいくらかかってるんですかぁ?」

 エレベーターが目的階へ昇るさなか、密室での他人との沈黙が苦手な大宮は気にもしていない質問を投げかける。

 「申し訳ございません。こちらのマンションは一棟全て、当社薔薇園の所有物となっておりますので、一部屋あたりの賃料は分かりかねます」

 岩田がハンカチで脂汗を拭いながら答える。


 「うそヤッバ」

 本心でそう思った。


 ただの高校生だけど都心一等地のマンション一部屋が馬鹿みたいに高いのは分かるし、それを一等まるごとってどんだけ金もってる会社なんだよ。

 ネットで『薔薇園』て検索してもなにも出てこないから、会社なのか闇組織なのかは知らないけど・・・。

 高校生にまでこんな事させて、こーんな立派なマンションまで抱えてるんだから、きっとろくでもない奴らの集まりなのね。


 大宮は目を閉じて雷親父が説教するかの如く腕を組み、フンッと鼻息を立てた。


 

 チーン

 エレベーターが33階に到着し扉が開いた。

 エレベーターも装飾がされて豪華なのに、到着音はどことも変わらない陳腐な音なのね。

 大宮はどうでも良いことにクスッと笑った。


 温かみのある間接照明に照らされた通路を歩き3312号室の前に着く。


 「こちらで本日のお客様がお待ちです」

 そう言って岩田がインターホンを鳴らす。


 少ししてドアが開き大宮は驚く。

 「やっほーしずく!待ってたよー!」

 「え?ミチル?なんでここにいるの?」

 

 ドアを開けて大宮を出迎えたのはクラスメイトのボス格、ミチルだった。


 「まぁまぁとりあえず入ってよ!岩田さんご苦労様です!後でまた送って下さーい!」

 「かしこまりました。それでは私は下でお待ちしております」

 そう言ってミチルは大宮を強引に部屋に引き入れ、岩田は去って行った。

 

 「ちょっと、なんでミチルがここにいるの?私なにも聞いてないんだけど」

 3312号室の玄関で訝し気に大宮が聞く。

 「やーそれがさぁ、けいちゃんが女子高生二人とデートしたいって言うからさー」

 頭を掻く仕草で申し訳なさそうに笑いながらミチルは大宮の腕を引っ張りリビングへ向かう。


 慌てながらもこういうケースもあるのかと大宮は無理に納得した。

 玄関通路から幾枚の居室ドアを抜けて、ミチルがリビングドアを開けた。


 「けいちゃーん、お待たせー!私の親友のしずくだよー」

 リビング正面の大きなソファに座っている5~60代の太った白髪交じりの男性が立ち上がる。


 「おお、しずくちゃんだね!ボクのことはけいちゃんと呼んでくれ」

 けいちゃんと呼ばれる男が太った男性特有の野太い声、俗に言うピザボで自己紹介をする。


 大宮は部屋の雰囲気でさっき無理に納得した自分に嫌気が差した。

 

 ネクタイはソファに掛けられ第三ボタンまではだけたワイシャツ姿のおっさん、制服は着てるけど少し化粧の崩れた顔と少し荒れた髪。

 こいつら絶対ヤってたでしょ。

 薔薇園はウリ禁止じゃなかったの?

 なんかヤバい。

 岩田に連絡を取るにも携帯はない、どうしたらいい?


 大宮は現場の空気でよからぬことに巻き込まれたと瞬時に予感した。

 


 

 初めての投稿になりますのでテストがてらの短さとなっております。

 書き方や描写に至らない点があると思いますので予め陳謝。

 使い方など勉強しながら執筆していきますので、編集や次話投稿はマイペースに進んで行くと思います。

 皆様のお目に留まりましたら幸甚です。           ~味楽~

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