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雨降りの映画館 (四二)
「じゃ、飯でも食うか。」
オジサンは冷蔵庫の中を見て、すぐに扉を閉じ。玄関で靴を履き始めた。
「すぐ戻りますんで。」
「あ、では、私どもはこれで、」
オヤジが言うと、オジサンは慌てて振り返ってこう言った。
「いやいや、すぐそこのスーパーでちょっと食材買ってくるだけ、すぐです。」
「いや、そんな訳には…」
「お腹、空いてるんでしょう?お腹の音が鳴るくらい。」
オジサンが半分笑いながらそういうと、オヤジも笑いをこらえながら香里ちゃんの方をチラと見た。
「そうなんでしょッ!」
と怒った顔して、台所にドカドカとやって来て、流しの下の引き出しから米を取り出すと、炊飯釜を取り出してお米を研ぎ始めた。
「付き合ってくれるか?」
オジサンはオレを連れ出してくれた。雨はまだ降っていたけれど、傘を差すほどじゃなかった。




