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土砂降りの駅前(一七)
「真弓さん、ウチにいないのか?」
私はついに切り出した。この話題に触れたくはなかったけれど、もう、食事を終えるのを待てなくなっていた。ほかに話題が見当たらなかったという方が正確かもしれない。
「…うん。」
「いつから?」
「…三年。」
「はあ?お前、三年も嫁が家にいないのか?」
「俺にも訳が分かんねんだよ!突然居なくなったんだよ!しかも見つかったと思ったらなんで実家なんだよ!しかもいまいねーじゃねーか!」
私と洋一は顔を見合わせた。外で強く雨が降りしきる音だけが聞こえる。それは永遠のようにも、ほんの束の間のようにも思える長さだった。




