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雨は降る  作者: 坂本瞳子
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雨降りの映画館 (三五)

狭いひと部屋。キッチンがあって、一応仕切りが合って向こう側。小さめのタンスの最上部にお骨が入っているであろう大きな瓶が据えてあった。その前に蝋燭やら線香、あの、鳴らすヤツとか、やたら真新しくって間に合せで買ってきたようなのが置いてあった。オヤジはうやうやしく線香をあげて、ポケットから数珠を取り出して、写真に向かってなんだかボソボソと呟きながら一分くらいも手を合わせていた。

香里ちゃんは部屋の奥の窓を開けて外を向いてた。降り続く雨を見ているのだろうか。

「ほら、お前…。」

オヤジのそれはやっと終わったみたいで、オレにも拝めと言うのだった。

香里ちゃんがオレの方を向く。なんとなくオレは目を合わせない。

前に立つと、ミキの写真が良く見える。くったくのない、まだ十代の頃の写真。すっげー…、かわいい。

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