81/125
土砂降りの駅前(一二)
夕方、いつもと同じように家に着いた。侘しい家だ。雨音が聞こえると、さらに冷たさを感じる。私はまず手を洗って、仏壇に手を合わせる。そしてそそくさと部屋着に着替える。いつもならサッと風呂に入ってから晩飯といくところだが、今日は息子が帰ってくるから、なんとなくソワソワしてしまう。あんなのでも、なにがあろうと楽しみにしてしまう自分がいる。
とりあえずお茶を入れる。茶葉の測り方や急須の扱いにも慣れたものだ。キッチンのテーブルに腰掛けて、お茶を飲みながらなんとなく一休み。まだ六時、洋一は七時過ぎまで来ないかもしれないと思った矢先、玄関のベルが鳴った。
「オレ…。」
インターフォン越しに息子の声を聞いた。




