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土砂降りの駅前(一一)
あれから半月くらいが経った頃、洋一から日中に突然電話がかかってきた。ちょうど雨が降り始めたところだった。
「真弓、いる?」
「いないよ。」
「嘘じゃないよな?」
「嘘なんてつかないよ。」
「少し前に、居たろ?」
「居たというか、ちょっと来てもらったくらいのことだ。」
「とにかく、今日、行くから。」
「ああ。」
それはもちろん、とてもぶっきらぼうな電話だった。数年ぶりに電話をかけてきた一人息子の口調としては認めがたいものではあったが、私はコイツに真弓さんのことを確認したかった気持ちが勝ったようだ。




