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土砂降りの駅前(九)
洋一の分は先に取っておいた。残った二人分は少し多めで、私だけじゃなく真弓さんもご飯をお代わりした。おいしかったんだ。ああ、間違いなくおいしかった。ごちそうさまでした。
「わたしも、自分でいうのもなんですが、今日、お義父さんと一緒に食べたすき焼きはおいしかったです。」
「ありがとう。」
なんだか私はお礼を言いたい気持ちになって、素直にそんなことを言ってしまった。真弓さんは謙遜していた。そしてその場をごまかすように、キッチンに立ってお茶を淹れてくれた。
お茶を出してくれたときも、窓の外ではまだ雨が降り続いていた。
「お義父さん、もう気づいてますよね?」
真弓さんはとても言いにくそうに言った。私はなんとも言えず、目を湯呑へと下げたまま、うんと軽く頷いてやるしかできなかった。ああ、とうに分かってはいた。洋一は一緒じゃないんだ。




