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雨は降る  作者: 坂本瞳子
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土砂降りの駅前(八)

私は真弓さんを半ば強制的にテーブルにつかせた。それでもご飯をよそってくれたり、晩酌はいいのかと聞いてくれたりした。私はもう歳だしアルコールは数年前に止めた旨を伝えると少し意外そうな顔をした。そして私の向い合せの席は洋一のために空けたまま、ほそぼそと二人で食べ始めたすき焼きだったが、それはおいしかった。それらしい家庭料理を作ってもらって食べるのが久しぶりだったこともあったろう。家族と呼べる人と食事をしたのも久方ぶりだ。有り合わせで作ってくれたサラダも本当においしかった。二人では大した話題もないし、お互いに、家族とは言え聞いてはいけないこともあるだろうと探りながらではあったが、天気の話など、話題を探しながら、ポツリポツリと会話を続けた。恐らく真弓さんも私もどちらもが、洋一のいち早い帰宅を待ち受けていた。窓の向こうは雨の音が大きく聞こえているから人の足音などはとても聞こえず、いきなり荒々しくドアを叩く音が聞こえるんじゃないかと期待していた。

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