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雨は降る  作者: 坂本瞳子
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土砂降りの駅前(四)

真弓さんも傘を持っていなかったから、私はレジ前のビニール傘を一本買った。義理の娘と買い物袋を下げて相合い傘でウチに帰れるなんて、少し、いや、だいぶ嬉しかった。真弓さんは少しソワソワというか、なんだか落ち着かない様子ではあったけれど、私と二人で少し緊張していたのかもしれない。義理の娘とはいえ、会ったことはほとんどなかったし、いまも九州は遠い。

ほどなくウチに着いた。雨に降られたのもあって、なんとなく先に風呂に入るように勧めたけれど、私に先に風呂に入るようにと勧められた。それに真弓さんは私の靴も揃えてくれたし、食材を冷蔵庫に入れ、手を洗ってからまず仏壇に手を合わせてくれた。

私はなんとなくのんびり時間を潰してみた。

「洋一、遅いですね。何時頃になるか言ってました?」

「あ、いえ…。」

「そう。じゃ、風呂に入るよりも前に先に二人で食事をしてしまいましょうか。」

「いえ、お義父さん、先にお風呂入ってください。私に気を遣って、傘からずいぶんはみ出して濡れてしまったんじゃありませんか?」

「おとうさん」て、いい響きだと改めて思った。確かに、真弓さんが雨に濡れないようにと傘を傾けて自分は結構濡れてしまった。でも、自分が風呂に入っている間に洋一が帰って来て、二人で食事を済まされてしまうのも癪だなあなんて、そんなツマラナイことを考えていた。

「お風呂、ちょうど湧いたみたいだから、どうぞ温まってきてください。」

そう言われて、したがうことにした。

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