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雨降りの映画館 (二八)
渡り廊下を歩きながら、さすがに気づいていた様子の看護師がようやっと聞いてくれた。
「お知り合いの方ですか?」
「ん…。」
オレは答えに困った。知り合いって言っていいものかどうか。
で、香里ちゃんはずっとこっち見てるし。
「声かけましょうか?」
「あ…、うん、いいや。」
看護師はオレの腕をしっかり握って、目線は前を向いたまま確認した。
「どっちですか?声、かけます?かけません?」
「かけない。」
「いいんですね、かけなくて。」
なんだこの女。オレはイラッとした。




