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雨は降る  作者: 坂本瞳子
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雨降りの映画館 (九)

結局オレは七、八人の奴らに円陣を組むように囲まれた。四方八方、逃げ出す隙は見いだせなかった。

突如として、ミキはふらっと緩やかに雪崩れるようにオレに覆いかぶさってきた。周りの奴らがビックリしてる。

オレは仰向けに倒されてしまった。ミキはオレに覆いかぶさっていた。もう一人、ミキの上に…、いや、オレがやっと見えた交差点ミラーの中、ミキの背中に刺したナイフの柄をつかんだままの男がいた。ミキの身体のすぐそばに正座するような格好で座して、両腕はミキの背中の真ん中を押し付けているように見えた。

ミキの両隣にいた奴らがその男を引き離そうとしてる。蹴ったり殴ったりしてるけど、男はびくともせず、頑なに力を入れたまま、ミキの背中のナイフ、いや、ナイフっつーより大きめの包丁か?をさらに深く差し込もうとしてるみたいで、ミキの背中からは血がドクドクと流れ続けていた。

「おい…、ミキ…」

オレはやっとのことで声を少し出してみるのだけど、ミキは反応しない。

何人かは逃げてった。どうせ警察に見つかるとヤバいやつらなんだろう。

一人か二人かはまだ男をミキから引き離そうとしてる。別の何人かがミキの名前を呼んでる。大丈夫かとかなんとか。

オレはミキの下、動けないまま、雨に打たれてる。

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