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雨は降る  作者: 坂本瞳子
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雨降りの映画館 (一)

はは、映画の中まで雨が降ってらぁ。


さっきのやつら、追ってきてないみたいだ。

公園を突っ切って大通りを抜けて、小路を二つ、三つ曲がって、でもまだ追いかけられて、もう一つ角を曲がって、そこでまたひとり倒して、小路地に入って、まだ二、三人追いかけてくるから、ビルの階段駆け上って、適当に入ったところが映画館だった。まだあいつらは入ってきてないみたいだ。なんか、古い映画やってる。客席にはぽつん、ぽつんとあっちにもこっちにも人がいる。

夜だし、雨だし、ちょうどいい。

なんか、古い映画やってる。白黒の、うん、古い映画。男がひとり。雨に降られ、傘もささず、難しい顔して、大通りをひとりで歩いてやがらぁ。あっちも真夜中みたいだ。

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