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店の中、雨は降らない (六)
しづかは手ぇ振りながら出てった。
「またどーぞぉ。」
スギちゃんがしづかに挨拶してる。自動ドアが開くとねぇさんが見る。まさが入れ違いに入ってくる。
「出てるな。」
「ん、も少し。」
この「出てるな」は「席代わって」なんだけど、「も少し」は「ヤだね」なんだな。スギちゃんはこれを悟って、別の列に行っちまう。
自動ドアが開く。ドアの向こう側、天から地面へ向けて一直線の雨が強く打ち付けてる。客がドドっと入ってくる。ねぇさんはひねったハンドルを固定させたまま、客を一人ずつ確認してる。
「頼むよ。」
これはつまり、「もう待てねーよ」なんだな。
「むん…」
いやいや、まだまだ、もうちょっと…って感じ。




