兄弟似た者同士?
「いいよー好きなだけ食べて」
余りにも嬉しそうなので、柊も気が付けば微笑んでいた。
琥珀の存在について、特に考えていなかった柊だったが、こんな可愛い一面を持っているのだと気づいたことに、興味を持ち始める。
「あれー? 津々楽くんじゃない?」
席の横を通り過ぎようとした女子大生二人が、テーブルに近づいてきた。
「今日はなになに、デート? あれ? 妹さん?」
女子大生の一人が琥珀を見ながらそんな疑問を投げかける。
「これはオレの婚約者」
柊は笑顔でサラッとそう答えていた。
「またまたぁー。そーいうの好きだよね~。今度は私と行こうよー」
「じゃあ私もよろしくー」
そう言うと笑いながら女子大生二人組は店を出て行った。
柊は「またねぇ~」と手を振っている。
「湊くんチャラいって思っていましたけど、案外兄弟似ているのかもしれないですね」
琥珀はついつい思ったことを口に出してしまう。
「え? オレ別にチャラくないけどなぁ」
考え込む姿が本気である。
なんだかその違和感が妙に面白くて、ぷぷっと琥珀は笑いをこらえていた。
琥珀の笑顔を見て、安心している柊がいた。
今まであまり深く考えたことが無い感情で、ちょっと不思議な気分に浸っている自分が居る。
それが何なのか……柊はまだ分からなかった。