素行に難あり?
「あれ? もう湊は出かけたの?」
玄関から入ってきた柊は、琥珀と祖父が夕食を食べているのを見つけ一人欠けていることを指摘した。
「あやつが居らんのはいつものことじゃろ」
当主でもある祖父・勇は興味なさそうに答える。
「まぁそーなんだけど、まだ琥珀ちゃん紹介してないじゃん?」
「あ、私会いましたよ」
琥珀は食事を終わらせて、「ごちそうさまでした」と言うと、向かいに座った柊に夕方のことを話した。
「あーあいつ帰ってから会ったのか」
そういうと、運ばれてきた夕食を「いただきます」と言いかけ込む。
「オレと全然似てなかったでしょ」
柊はクスッと笑い琥珀に尋ねる。
「雰囲気と言うか、輪郭と言うか、一緒ですよね。ただ、最初出会った時なんか……」
「チャラかったんでしょ?」
そういうと柊はケラケラ笑っていた。
「アイツさぁ、腕っぷしはめちゃめちゃ強いから、気が付いたらそこいらの不良全部のしちゃったのさ。で、懐かれていてね」
琥珀は新情報で興味が出てくる。
「夜は出かけているの?」
「毎日でもないけど、そこいらをウロウロして帰ってくる程度だと思うよ? 迎えが来るからねー」
「迎え?」
琥珀にはちょっと意味が通じなかった。
「あ、アイツ異能がないんだよ。だからオレらみたく移動できいなからね。自分のバイク出すか、誰かのケツに乗せてもらっているか……で出かけているのさ。ホントまじ不良まっしぐら」
その説明で、「無異能力者」であったことを思い出す。
それを黙っていた勇翁は「ふん」と言い、その場を退席する。
「じーさんは湊の行動が気に入らないんだよ」
そういうと、食事も終わり、お茶を飲みながら柊はまた笑っていた。