出雲・目覚める
「由良、エネルギー切れとか笑える」
斐伊が皮肉っぽく嘲笑った。
「流石にまだ無謀だったのは認めるさ」
自分に対して悔しそうに由良は呻いた。
「まぁ問題は出雲だ。相当の深手でおねーさんのヒーリングが追い付くか……」
二人は見守るしかなかった。
琥珀は全神経を集中してエネルギーを注ぎ込み続けた。
どれくらい経過しただろうか。
出雲の心拍等は安定してきた。
医療班は胸をなでおろす。
酸素吸入していた出雲の目が薄っすら開いた。
「出雲くん! わかる!?」
最初に気づいた琥珀は慌てて声を掛ける。それに反応して由良と斐伊も駆け寄った。
「凛と涼は……」
「大丈夫、今は眠っているけど時期に目が覚めるって!」
「そうか……」
出雲の瞳から涙が流れ落ちる。
「ごめん……志乃さん呼んでくれる?」
そう伝えると、また傾眠する。
「出雲が目覚めたって!」
志乃さんはすごい勢いでドアを開けた。
出雲に駆け寄り、「ごめんなさい」という出雲を抱きしめると、「いいのよ、いいのよ」と何度も何度も答えていた。
二人で話したいということで、他の者は一時退出していた。
退出した志乃は事の経緯を医療班から聞いていた。
「琥珀ちゃん、ありがとう。出雲を助けてくれたんですって」
志乃は深々と頭を下げる。
「止めてください! なにもできなかったのは私のです」
慌てて、志乃の行動に対して止めに入った。
「またあとでお礼はするわ。ちょっと会議が終わってないからまたね」
そう言うと、目の前から消え去る。
その後も入室しようとしたが、眠っている出雲を確認すと、斐伊とその場を後にした。