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セピア色のMEMORIAL SAVER  作者: 小林汐希
1話 「たんぽぽ」は私の夢の第1歩
4/32

【3】




 私たちも、施設側と一般向けという二つの厨房がひとつにまとまったことで、今では元からの調理師さんの里見(さとみ)先生、私の学生時代からのお友だちで、お手伝いをしてくれている千景(ちかげ)ちゃんと三人で切り盛りできるようになった。


 壁紙などを明るく、ダイニングセットなども全部入れ替えて、児童センターに来る子連れのお母さんたちに大人気のお店になっている。


 子ども連れのお客さんが多いこともあって、店内は基本テーブル席のみ。


 もちろん以前から児童センターの会議室などは昼食時間などは食事を出来る場所として開放されるので、そちらで食事をすることも出来る。大切なのは、場所ではなくてそのメニューだった。


 『たんぽぽ』で出す食事の特徴は、食物アレルギーを持った子どもたちにも可能な限り対応させてもらっている。


 アレルギーをもっている子どもがいると、どうしても外食が難しくなってしまう。


 そんな家族がその子を囲んで一緒に安心して外食ができるレストランを作りたい。


 これが私、長谷川(はせがわ)花菜(かな)が高校時代から見続けてきた夢。高校を卒業して、短大で勉強をしながら栄養士と調理師免許も取った。在学中からこの珠実園のお手伝いとして不定期の仮店舗だった『たんぽぽ』を正式に立ち上げたのがこの食堂を兼ねたお店なの。


 お昼のお弁当だけでなく、メニュー限定にはなってしまうけれど飛び込み来店でも大丈夫。予約をもらえれば夜や休日でも開けておく。


 事前にどの食品に制限がかかっているかを聞いておいて、除去か代替材料で作るのは決して簡単ではないけれど、家の外のレストランで誕生日会などを初めて開いてもらって嬉しそうな子どもたちの顔を見て、そしてご両親からのお礼を聞いて、自分の道が間違っていなかったことを感じたね。


 そこでクリスマスという、1年で一番華やかな日に、家族や友達とみんなで一緒のケーキが食べられるようにと、昨年から予約限定で作らせてもらったところ、あっと言う間に予約が埋まってしまった。


 もっと欲しいという声に応えたいと、今年は厨房の3人で協力して枠を増やしてもギリギリだった。


 そのケーキ作りも今日の夕方には終わって、明日はお渡しのみ。


「じゃあ、結花ちゃんも花菜ちゃんもいってらっしゃい」


「里見先生、すみません。お願いします」


「いいって、気にしない。楽しんでおいで」




 そんな今夜、私たちはこれからお出かけをすることになっていた。それも、今夜を含めると2泊3日という少しハードな日程になっている。


 でもそれは仕方ないこと。


 私を含めて、全員がお仕事持ち。しかも結花先生のご主人の陽人(はると)さんと私の旦那さまはどちらも予備校や高校の教職だ。そこを無理言ってお休みさせていただくのだから、感謝している。


 結花先生たちも、私たちにもこの『クリスマスイブの日』というのは特別な意味を持っているのからね。


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