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セピア色のMEMORIAL SAVER  作者: 小林汐希
1話 「たんぽぽ」は私の夢の第1歩
3/32

【2】




「明日は作らなくても大丈夫なの?」


「はい、明日は引き取りだけなので里見先生と千景ちゃんにお願いしてしまいました。予約分は全部作って冷蔵庫に入ってます。意外に25日って受け取り少ないんですね」


「ほら、珠実園(ここ)自体が今日までにクリスマスを終えちゃうからね。飾り付けも明日の夜には剥がしちゃうし。覚えてるでしょ?」


「そうでしたね。みんなで壁から外したりしました」


 結花先生が「手伝ってあげるよ」と注文書を読み上げてくれる。私は箱の横にチェックした名前とマークを確認する。


 このお店は、その珠実園の2階にある『たんぽぽ』という店舗兼食堂。


 それまで、児童福祉施設の食堂と支援センターとは別のお部屋を使っていた。それが昨年、支援センターの拡充ということで、1階にあった施設側の食堂を廃止してしまった。


 もともとこの建物はホテルをリノベーションしたものだから、2階にあった宴会場とレストランをリフォームして、在所している子たちとの食堂と、センターに遊びに来ている子たちも利用できるように共用施設として開放することにした。



 この案は意外にも結花先生が出したものだった。


 施設に入居している子たちと、家族連れで訪れている一般の方を会わせるのはどうかという懸念もあったけれど、副園長を務める松木(まつき)茜音(あかね)先生が「卒園したときにきちんと外のことを知っておく必要がある。それにここにいる子たちで、それを拒否するような子はいません」と言い切った。


 もちろん、精神状態によっては辛いというシーンも想定されるから、そういうときに対応できるように個室も用意してある。


 結果的にそんな心配は杞憂に終わった。


 在所している子たちも、なかなか外のレストランに子供たちだけで入ることは難しい。


 それが、支援センターと一緒に統合したことで、一般解放時間は友達を連れてきてもOKとルールが変わったことで、飲み物と軽食でお喋りしているなんて光景もみられるようになって、子どもたちの社会性への心理的ハードルが下がったとの報告もあがってきている。



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