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第四話 阿莉佳の誓い

今回はちょっと短めです


俺の名前はなんなんだ?なんで思い出せない?


「おにぃ?」


自妹改め阿莉佳が心配そうな目で見てくる。


「なんだ、俺の名前は……」


「おにぃ、もしかして名前が思い出せないの?」


阿莉佳に聞かれて、俺は答えに詰まる。ここで答えなければどうなるものか、と不安が出てきた。もし、俺が本当の兄でないと思われたら阿莉佳はどう思うだろうか。そもそも、異世界の住人が必ずしも優しい人だとは限らない。その危険性に今更ながら気づく。だが、ここで誤魔化しては仕方がない。正直に。そっちの方が俺も楽だ。


「えー……うん。」


「そっか……たぶん異世界へ来た時の副作用みたいなものかな?」


後半の方は呟くようにいっていたので聞こえなかったが怒ってはないようだ。まず、そのことに安堵する。


「それに兄上のステータスを見ればいいだけですしね。」


「ステータスがあるのか!?」


「きゃっ!?おにぃ……」


「おっと、ごめんごめん」


つい、興奮してしまって阿莉佳に詰め寄ってしまった。にしてもステータスあるじゃん。こうもあっさり言われたら俺の試行錯誤はなんだったんだろう。ま、いっか。


「で、どうやって見るんだ?」


「兄上がステータスオープンと胸に手を当てて唱えればステータスは表示されますよ。」


なんだよ。胸に手を当てないといけないのか。そんなんわかる訳ないだろ。でも、これでやっと自分のステータスがわかるぞ。ワクワクしてきたぞ。


「……ステータスオープン!!」


「気迫がすごい…」


阿莉佳の言葉は無視して早速現れた透明ボードをみると。



名前 ??? ???


種族 ???


能力値 xxxxxxx


魔術名「創造(イメージ)



なんか、わからないところ多くね?名前も種族名もわかんないのかよ!能力値に関してはなんではてなじゃなくエックスなんだ?それに魔術名?俺の魔術は魔素吸収じゃなかったのか?


「どうですか?」


俺の難しい顔を見て心配になったらしい。顔を覗き込んでくる。なのでこのことを話すと


「それは、私にもわかりません。」


「そっか……」


「ごめん、力になれなくて……」


しょんぼりした様子の阿莉佳を目に、俺はわからないことは置いといて魔術に関して考えていた。


「なあ、俺の魔術は魔素吸収じゃなかったのか?なんだ『創造(イメージ)』って?」


「えーと、ですね。兄上の創造はその名の通り、イメージを具現化する力です」


「じゃあ、なんで魔素を吸収できるんだ?」


「多分、創造の副作用でしょう。創造は強力な分、大量に魔素を使いますから」


ほう、まさしくチートの力だな。俺にピッタリじゃないか!あれ?でも魔素を取り込もうとした時、魔素吸収!とか言ったよな。あれで発動しなかったのか?


「兄上の魔術はイメージを具現化する魔術。相当、正確にイメージしなければ発動しないんでしょう。」


まあ、たしかにあのときはノリで適当にやったからな。


「わかった、ありがとう阿莉佳」


「いえいえ、そんな……当然のことをしたまでです」


照れる阿莉佳を見て俺は誓う。一生この子の兄であり続けようと。癒されますなー。


「とりあえず、分からないことは置いといて、どうしますかこれから」


その質問に悩む。正直に言っていろんなところを旅したい。異世界モノでは定番だしな。だけどいろんな不安はある。ここは異世界だ。争う手段があり、たぶん日常茶飯事なのだろう。だからこそこの世界で生き抜くためにも力を身につけなきゃいけない。最優先事項だ。


「それならいい方法があります。」


その言葉に俺は食いつく。


「本当か!?」


「え、えぇ。ここで私と修行しましょう!おにぃは強くなれるし、私もおにぃといれて一石二鳥です。」


確かにな……って


「大丈夫なのか?」


仮にもこちとら思春期である。もちろん手を出すつもりはないが、ね?もしものことがあったらね?大変じゃないか。


「構いません。むしろ……」


「うん?」


「ううん、なんでもない。とりあえず決定だね」


うふふ、と笑う阿莉佳を見て異世界とかどうでもよくなってきた。……守りたい、この笑顔。


「とりあえず今日はもう寝てください。」


「いいのか?ここは阿莉佳のベッドだろ?」


「いえいえ、もう、全然!一ミリも気にしませんから!布団もあるので私がそこで寝ます!」


その迫力に俺は、いい、とも言えず了承する。まだ、気になることは沢山ある。だが、聞いても答えてくれそうにない。それにそんなことはどうでもいい。とりあえず楽しく、楽に生きたい。そのためにもまずは寝よう。


「おやすみ阿莉佳」


「はい、おやすみなさい」


そして俺はいろんなことをすっぽかして襲ってくる疲労の波に抗えず瞼を下ろした。



◇◇◇◇◇◇



おにぃが寝て、私も寝ようと布団に潜る。おにぃの方を見るとなんとも幸せそうな寝顔をしている。そんなおにぃはかっこよくて、優しくて、いつだって一緒にいてくれた。だから、今度は私が、一緒にいる。例え、私のことを覚えてなくても。


「おにぃは私が必ず守ってみせる」


そうあの日の月に、誓ったから。



次は本格的にバトルに入っていこうかと思います。あと、阿莉佳が敬語になったりならなかったりは感情によって左右されるからです。いつか、本編でも突っ込もうと思いますが。

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