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一話 生きるためには必要なことです

不安ですが何とか頑張ります

「よし、これでこのマップはコンプリートしたな」


現在、時刻は深夜の一時半。

今日も春休みなのをいいことに徹夜でゲームをしていた。

ゲームがキリのいいところまでいったので、パソコンの隣に置いてあるエナジードリンクをグイッと仰ぐ。

そうそう、これこれ。やっぱエナジードリンクはレッドウルに限るよな。

そういえばこれを飲み始めたのってCMで翼を授ける〜、とかいってたからだったっけ。懐かしいな。

あの頃はあのCMを信じてレッドウルを飲みまくって危うく死ぬところまでいったこともあるしな。いつ生えてくるのか鏡で確認してたっけ。



感傷に浸っていると突然、パソコンにノイズが走る。

あれ、おっかしいなー、動かないぞ。

まいったな、やっぱ古いからか。新しいやつに買い替えるしかないか、と考えているとノイズが収まり、元の画面に戻る。

なんだったんだ?今の。



まいっか、とゲームを始めようとすると突然の脳の痛みに椅子から転げ落ちる。

な、なんだ...頭が......ガンガンしすぎてONLINE(オンライン)になりそう。

ってふざけてる場合じゃない。くそっ、どうすれば。とりあえず救急車を...。

そう思い、机の上のスマフォに手を伸ばすがそこで俺の意識は途絶えた。



◇◇◇



目を覚ますと知らない天井だった。

ということはなく、何故か知らない空だった。

え?なんで知らない空か分かるかって?空なんてどれも同じだろうって?バカ言うなよ。だってよ、空が.......


「くろぉぉいぃぃいいい!!」


明らかにおかしい。別に雲に隠れていると言う訳でもない。本当に黒なんだ。

空は、雲と見受けられるものがひとつもない、黒く、澄んだ色をしている。

なんだよこの色。めっちゃ違和感あるんだけど。

そりゃあザ〇スが世界と一体化した時の空よりはいいけどさ。顔も映ってないし。それに


「どこだ?ここ」


体を起こし、周囲を見渡すと周りは砂漠といった感じなんだが明らかに日本ではないことだけは確かだ。

だって紫だし。もう一度言おう。紫だし。

うん、もう驚かない。俺は冷静になるのだ。落ち着けよ。

そうだ、おばあちゃんの顔を思い出すんだ。ってこれは息子を落ち着かせる時の方法だったわ。

ここで俺の灰色の脳細胞があるひとつの答えにたどり着く。もしかして、これは異世界転生?いや、正しくは召喚?だって顔や体は見たり、触ったりした限り高校生である俺そのものだ。ということは?ここはまさかの?


「異世界キタコレ!!!!」


つい、叫ぶが興奮を抑えられない。え、まじで異世界なの?魔法とか使えちゃったりするの?

そしてヒロインと出会って恋に落ちたりして?ゆくゆくはハーレム王国築いちゃったり?しちゃうわけ?ということで早速、いってみよー。まずはお約束をしよう。


「ステータスオープン!!」


シーン……。

いや、もしかしたら掛け声が違ったのかも。他にもステータス開示、ステータス表示、開けゴマ!!など色々試すが.......


「全然でねぇ.......」


まじか、ステータスが出ないってことはそういうのはない系の異世界か。もしくはかけ声が違うか。

ま、どっちでもいいや。分からもんもんは仕方ない。

次にすべきことは決まっている。もちろんあれだよ。


「鑑定!!」


と紫の砂を持ち上げ叫ぶ。すると.......


「なんか出た!!」


出たのは半透明のウィンドウ表示みたいなものだった。そこにはこう書いてある。



鑑定結果


名称

魔晶砂


説明

長年かけて大気中の魔素を取り込み紫色となった白砂

希少価値が高く高値で取引される



ほうほう。これは、ましょう、すな?というんだろうか。

と、そんなことはどうでもいい。でたよ!!鑑定結果。ということは俺は鑑定のスキルを持っているってことだよな。

おいおい、いよいよ異世界感が出てきたな。いや、黒い空とか紫色の砂とか日本ではありえないけどね。

俺が知らないだけで、もしかしたら外国って線もあったし。やっぱここは異世界なんだなーと思う。そして興奮も冷めきらぬまま次の実験へ行こうとするがある重大な問題に気付く。


「食べ物、どうしよう.......」


詰んだくね?これ。辺り一面砂漠の中、俺のお腹の音だけが響いていた。



◇◇◇



相変わらず何も無い砂漠を歩いていた。

あっちで、徹夜でゲームをしていたせいで三日間ぐらい何も口にしていなかった。

そのせいで今も腹に動物でも飼っているぐらいに腹が鳴っている。

それに喉も渇きっぱなしだ。やばい、なんもない。

森の中なら鑑定で探せば食べれるものぐらいあるだろう。しかし、そもそも植物すら生えていないのだ。

ここの砂漠はあまり凸凹(でこぼこ)しておらず遠くまで見渡せるがオアシスみたいなのも無さそうだ。

仕方ない、最終手段だ。俺はしゃがみこむと砂を手に取り見つめる。あれ?見つめるほどなんか口に入れるとパチパチするやつに見えてきたぞ。今なら食える、と手の平に乗った砂を口に含む!!


「..............ジャリ(噛む音)..............オブオェ(吐く音)」



ダメだ!口の中が!!ぺっ、ぺっ!!.......くそ、水もないから口の中が気持ち悪い。こんなのでは腹の足しにすらならないな。と思った時、ある違和感に気付く。あれ、少しだけ腹がふくれている?

なんでだ?と思い俺が吐き出した砂を見ると


「白色になってるな」


待てよ、確かこの砂の説明欄に.......あった!!

説明では大気中の魔素を取り込んだ砂と書いてある。

そして元は白砂と書いてあることから魔素を取り込んでいない姿は白だということがわかる。つまり俺は


「魔素とやらを食べている?」


とりあえずなんで腹がふくれたかはわかったが細かいことは置いておこう。

食料問題が解決するんだ。でもなー、口の中に砂を入れるのは嫌だなー。

何とかして砂を口に入れずに魔素だけ吸収出来ないだろうか、と掃除機のように吸い込もうとするが、砂が口に入り失敗。

ならばと手を砂の上に置き、魔素吸収!!とそれっぽく叫んだが何も起きず失敗。

次のはあんまりやりたくないけど仕方ない。生きるためだ。四つん這いになると顔を砂に近づけ......


「チュッチュッチュッ」


キスをする。唇を突き出すようにして!これなら口に入れなくていいし、水も飲んでおらず口が乾燥しているため、あまり唇につかない。

そしてキスをした跡は白くなっている。つまり魔素が吸収出来ている証拠だ。天才かよ、俺!!だけど、人間として、大事な何かを失った気がする......


次はいつになるか分かりません(遠い目)

期待しないように

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