表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひとりぼっちの殺人鬼たち  作者: 秋も夏
6/27

快楽殺人6

━━━━━6━━━━━

桜は目の前の和服姿の楓には見向きもせず菫のことを考えていた。

「(どこかで会ったような、聞いたことのある名だったような)」

それに気づいたのであろう、楓が強めの口調で言う。

「貴方もしかして同じ学年の菫を覚えてないの?」

完全に忘れていた。いや忘れていたかったのかもしれない。

街でよくすれ違う程度の感覚。それくらいの気がしていた。しかし現実は違った。

目の前の和服姿の美女を置き去りにし部屋を飛び出す。

廊下は暗く目を細め見渡す。メイドの後ろ姿が見えるとそこからは一目散だった。フローリングの床を全力で走っていく。

追いつくと同時に揺れている小さな手を握る。

「あのっ!」

「━━━━っはい!」

勢いのあまり全体的に強めに出てしまったからか菫は少し怯えている。

よく見るとメイド服の隙間から微かに痣のついた細い腕が見える。首筋にもだ。

「ほんとに橘 菫さん?」

彼女と聞かされ驚きしかなく思わず疑問形から入ってしまった。

菫は無言で首を縦に振る。

「そっか」

そう言い反対の手で菫の頬に触れると猫のように口元を緩ませる。

菫を猫のように触っていると部屋から楓の呼ぶ声がする。

「呼んでるや。行かなくちゃ」

そう告げて菫に背を向ける。

「あのっ!」

少し小さめの声で呼び止められる。

「桜くんならきっとできるよ」

なんの事かは分からなかった。だけどそれでも答えずにいはいられなかった。

「任せとけ!」

そう言うとまた背を向け楓のいる部屋に走り始める。

何故菫の事を、初恋の子を忘れていたんだろうか。桜は少し考えてみたが、すぐに考えるのをやめた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ